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JCD Event Platformが探る「パーパス経営」: 観光業界と従業員エンゲージメントの未来

JCD Event Platformが選んだテーマの背後にあるストーリー

JCDでは、総務・人事領域に特化してさまざまな動画コンテンツなどを提供するオンラインプラットフォーム「JCD Event Platform」を運営しています。
前号ではパーパス(志)に根づく経営を提唱する名和高司先生(京都先端科学大学教授・一橋大学ビジネススクール客員教授)をお招きして、「生産性を3倍にアップさせるパーパス経営の作り方」セミナー開催の様子をお届けしましたが、今回は、JCD Event Platform運営担当の久保喜和に、パーパス経営のメリットや取り入れ方、JCDが提供する課題解決の「志」などを聞きました。

※名和先生のセミナーはこちら(https://jcd-ep.jp/search/detail/1324)から視聴いただけます
※視聴12/15(金)まで

  1. JCD Event Platformとは
  2. JCD Event Platformが「パーパス経営」をテーマに取り上げた理由
  3. 従業員のエンゲージメント向上が観光産業の課題解決に
  4. JCD Event Platform事業にも活かしていきたい"志"

1 「JCD Event Platform」とは

―まず、今回のセミナーコンテンツを提供する「JCD Event Platform」とはどのようなプラットフォームなのかを教えてください。

2020年、パンデミックにより多くのリアルイベントが中止となりました。
その結果、オンラインイベントの需要が急増し、そのニーズに対応するためにJCD Event Platform(オンラインプラットフォーム)が立ち上げられました。
初期段階では主に企業が制作したコンテンツを主体として提供していましたが、後にJTBが推進するEVP事業(Employee Value Proposition:従業員への価値提供)との親和性を考慮し、徐々に総務人事部門向けのコンテンツを増やしました。
JCD Event Platformの会員構成は中小企業が最も多いです。
大企業のように社内で充実した研修を提供できない場合でも、JCD Event Platformというプラットフォームを通じて学習の機会を提供することが、当初のコンセプトの一つでした。

―他のオンラインセミナープラットフォームと異なるところは?

JTBグループの最大の強みは、旅館やホテルなどの宿泊業やバス会社などといった観光産業との強固なパートナーシップネットワークがあることです。
これはJTBグループの特長的な要素のひとつであり、グループのアセットを活用して業界の課題を把握し、それに対応するコンテンツを提供することで独自性を確立しています。
また、JCD Event Platformの特長のひとつは、プラットフォーム上で課題の認識から解決までをトータルで支援することです。
課題解決までの一連のプロセスをサポートするために、JCDや各社が提供する人事総務系ソリューションを活用し、ワンストップで支援できる仕組みを整えました。実際、今回の名和先生のセミナーもJCDのHRC事業部との共催で実現しました。

―JCDではどんなソリューションを提供しているのですか?

たとえば「WILL CANVAS」というHRテックサービスは、観光業をはじめとする幅広い業界に提供されています。
このサービスは、従業員の意識調査をベースに、組織の状態を可視化・数値化し、その結果を分析やコンサルティングによって組織の改善、評価などの業務を支援します。
まさに今回、名和先生のセミナーでお話しいただいた「パーパス」に密接に関連しており、従業員がその会社を選んで働く理由やエンゲージメントを高めることで、パーパス経営の実現を支援しています。

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2 JCD Event Platformが「パーパス経営」をテーマに取り上げた理由

―今回、「パーパス経営」というテーマでセミナーを開催した狙いは?

昔から私はアメリカの多様性に触発され、人々が一つにまとまる要素について考えてきました。
以前、シンガポールのアジアパシフィック本社で法人営業を担当していました時、優秀な社員たちが次々とジョブホッピングをしてしまうという状況に直面し、新規採用もままならない中で、どうすれば社員に満足して働ける環境を提供できるか模索していました。シンガポールではJTBは外資系企業として位置づけられ、社員たちはなおさら不安を感じていたかもしれません。
その中で名和先生のお話にもあったエンゲージメントの重要性に気づきました。
長期雇用につながるためには、社員が「この会社で自分がやりたいことが実現できる」と感じる事が極めて重要なのです。そのためには、トップが会社のビジョンを明確に伝えることが不可欠です。
名和先生の著書を読み、このシンガポールでの経験を振り返り、今回セミナーを依頼することにしました。

3 JCD Event Platformが「パーパス経営」をテーマに取り上げた理由

―今、観光業界が抱えている課題とは何ですか?

人材不足が深刻化しています。新型コロナの感染拡大で解雇を余儀なくされた社員が戻らず、人手不足が続いています。厚労省の雇用調整助成金で最低賃金分を補償されましたが、それでも他の業界に移るケースが多く見られました。
インバウンド需要が復活している今、人手不足でアセットを十分に活用できていません。観光業は賃金水準が低く、新規採用は難しい状況です。
バス会社でも運転手不足が課題となっており、大型2種免許が必要なため採用が容易ではありません。
さらに、2024年問題も業界にとって迫る課題となっています。

―2024年問題とは?

2024年4月から施行される働き方改革関連法は、年間の残業時間を960時間以内に制限することなどの規定が盛り込まれました。
しかし、運送業界では実施することが難しく、5年間の猶予が設けられました。この猶予期間が切れる2024問題に対し、適切な対策をとっていないバス会社が多い状況です。
そのため、日本バス協会等と連携し問題意識を高めるセミナーを企画しています。また、労働時間の適切な管理にはシステム導入が望ましいですが、バス業界はDX推進の面で遅れています。
運転時間だけでなく、出勤から発車するまでの時間も拘束時間として考慮され、休憩時間も管理も非常に煩雑です。そのため、システム導入に関するセミナーも企画中です。

―そのような課題を解決する鍵が「パーパス経営」にあるということですね。

今回のテーマ、「パーパス経営」は、企業の理想像や従業員の働き方、賃金向上経営戦略など、課題に取り組む上で非常に重要な要素となります。
トップが強い意志と社員の共感・自発的な行動が企業成長のカギとなります。
名和先生の話から、社員が自己成長と働きがい感じる環境作りの重要性を学び、ぜひ参考にしてほしいと思います。

―観光業界で「パーパス経営」に成功している事例はありますか?

JCD Event Platformに掲載しているコンテンツでいうと、ハイアットリージェンシー那覇沖縄の事例(https://jcd-ep.jp/search/detail/1312)があります。
総支配人に発表いただいたこの事例では採用と人材育成を重視し、沖縄の特性を活かした働きやすい環境づくりに取り組んだ成功事例です。
また、同じく沖縄に位置するホテルパームロイヤルNAHA国際通りの事例(https://jcd-ep.jp/search/detail/1311)では、地元の採用と人材育成による人材確保、働きやすい環境整備に注力し、コロナ禍下で賃金を20%アップし、社員エンゲージメントを高めることでパーパス経営を実現した事例です。
しかし、これらの成功例は一部に過ぎず、旅館業のような同族経営や縦割り業務が多い業界では、パーパス経営の浸透はまだ進んでいません。
パーパス経営の理念を広め、業界全体に浸透させるにはさらなる取り組みと啓発が必要と考えます。

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4 JCD Event Platform事業にも活かしていきたい"志"

―名和先生のお話は、今後のJCD Event Platform運営に活かすためのヒントにもなりましたか?

今回の共催セミナーを通じて、観光業界全体のポジショニング向上にも取り組んでいきたいと思いました。
これまでは「気づきを与える」ことを目指し、動画コンテンツを企画してきましたが、業界の地位を高めるためには、業界で働く方たちが会社に満足感をもつ重要だと思いました。
私たちは一人でも多くの方に価値ある体験を提供することで、業界のイメージ向上に貢献していきたいと考えています。
例えば、人材育成や採用に成功しているホテルや旅館の事例をインタビューセミナーとしてコンテンツ化してきました。
学術的なことだけではなく、現場の生の声のほうがより効果が伝わると考えており、宿泊施設とバス関連の両方で、当社のコンサルタントと連携し、成功事例をコンテンツ化していくことを計画しています。

―観光業界以外の企業向けとしては?

毎年の法改正に対応するセミナーコンテンツの提供は、人事・総務領域で重要な役割を果たしています。
また、観光業以外の会社でも、縦割り問題だけでなく横の連携に焦点を当てたセミナーも企画しています。
JCD Event PlatformのスポンサーであるHRテック企業からは、他業界にもソリューションを提供したいという要望をいただいおり、特に学校や自治体、病院・医療関係のスポンサーニーズは高く、今後多角的にアプローチしていく予定です。

―既存コンテンツはどの領域に人気がありますか?

メンタル系のコンテンツは他のジャンル比べて2倍近い申込みがあることから、現代の労働環境や社会的なニーズの変化を反映していると感じています。
特にコロナ禍による在宅勤務や社内コミュニケーションの課題が増加したことから、メンタルヘルスに対する関心が高まっています。
たとえば篠原先生(ウェルカウンセリングルーム院長)の
「今の状態を知る」https://jcd-ep.jp/search/detail/1162
「完璧主義の人の陥りやすいパターン」https://jcd-ep.jp/search/detail/1212
「『不安』とのつき合い方」https://jcd-ep.jp/search/detail/1210
といったセミナーはすごく人気があります。
また、管理職向けのメンタルヘルスコンテンツも需要が高いです。

JCD Event Platformのメンタル系人気コンテンツ(一部ご紹介)

・「ADHD/ASDフォーラム2023」https://jcd-ep.jp/search/detail/1265
・「今の状態を知る」https://jcd-ep.jp/search/detail/1162
・「完璧主義の人の陥りやすいパターン」https://jcd-ep.jp/search/detail/1212
・「『不安』とのつき合い方」https://jcd-ep.jp/search/detail/1210
・「自分と部下の現状把握」https://jcd-ep.jp/search/detail/1243
・「部下との関わり方」https://jcd-ep.jp/search/detail/1269

中でも一番人気が高いのは「働く人のメンタルヘルス講座」で、「ADHD/ASDフォーラム2023」は去年に引き続き第2回を開催し、大きな反響がありました。発達障害の方をどう受け入れ、どういう職場環境を作るかということは社会課題でもあるので、こうしたテーマに関心が高まっているようです。

―いわゆるD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)系の需要が高いのですね。

コンテンツ事業部に社労士資格をもつメンバーがおり、その専門知識がコンテンツの開発に大いに貢献しています。彼らの知見により、神野先生や篠原先生といった専門家とのコネクションを築く事ができました。また、人事労務DXのテーマでコンテンツを増やす際には、ROLE人事パートナーズ社会保険労務士法人の郡司先生に協力を依頼し、一連のコンテンツを制作することができました。

エンゲージメント関連の古谷先生や、リスキリング関連の林先生も同様です。
林先生は資格ソムリエとして400もの資格を持っており、その経験をうまくリスキリングと結び付けて講演していただくことができました。

―最後に、

JCDは真の課題を追求し、企業のみならずその業界全体が抱える課題解決に向けて取り組んでいます。皆様からのお問い合わせお待ちしております。

―どうもありがとうございました。

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