お問い合わせ

お問い合わせ

JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

  • 人と組織の活性化
  • Report

会社の周年記念イベントによる社員のモチベーション向上に関する調査

~「感動」につながる成功要因と「退屈」を招く失敗要因~

【調査結果のポイント】
   1.周年記念イベントの63.1%がリアル参加中心の開催
   2.社員の7割以上参加が64.8%、アルバイト、パート社員含めてすべての勤務者が参加も38.8%
   3.社員以外も参加できるケースが7割
     パートナー企業・取引先企業の社員の参加 51.4%、社員の家族や親しい人の参加 38.9%
   (複数選択による回答の結果を集計)
   4.周年記念イベントに含まれる内容は、社長や経営陣からのメッセージ72.0%、
     料理や飲み物の提供65.4%、社員の表彰60.2%、会社の歴史や理念を表す映像の投影も52.0%
    (複数選択による回答の結果を集計)
   5.「感動した」と回答した人が参加したのは、社外の参加対象者がいる、社員の表彰がある、
     会社の歴史や理念を表す映像などが含まれる周年記念イベント
   6.「参加してよかった」71.3%、「ワクワク感や興奮があった」69.2%、「楽しかった」68.5%
   7.「会社としてよいこと」75.8%、「目的が伝わった」66.4%、「他の部門と交流できた」65.2%
   8.周年記念イベントの3大事後効果、1位「職場の中でコミュニケーションが増えた」、
    2位「他の部門と仕事がしやすくなった」、3位「仕事に対するモチベーションが上がった」
    9.成功要因は、1位「食べ物や飲み物」、2位「進行がスムーズ」、3位「会場内の環境」「感動」に
    つながるのは、「社員全員が同時に同じ体験」「会社や、同僚・上司の理解促進」
    (複数選択による回答の結果を集計)
10.自由記述から見える周年記念イベントの「よかった点」「社員同士の親睦が深まった/他部署との交流」
   が群を抜いて高く、次に「楽しかった/和気あいあいとしていた」
11.「うちの会社って良いことをやってるんだ」「うちの会社って、そういう歴史があったんだ」などが
    「感動度」と関連
12.自由記述から見える「印象に残っている内容」「ビンゴ大会」が最多、その他「ギネス世界記録™への
      挑戦」、「開催場所にちなんだコスプレ」、「経営陣のやらかし告白」など
13.失敗要因は、1 位「聞くだけで退屈」、2 位「社長・役員の話が長すぎる」、3 位「一部の社員のみだった
       こと」オンラインでの実施では「会社や同僚・上司について知ることができなかった」が多いリアル
       での実施では「良くなかった点は特に思い当たらない」が46.9%と半数近い
14.自由記述から見える周年記念イベントの「良くなかった点」「時間的拘束がある/所要時間が長かった」
       が群を抜いて高く、次に「(経営陣の)スピーチが長い・つまらなかった」、「進行管理がスムーズで
      ない」
15.日頃の思いが周年記念イベントへの満足に相関「会社の理念やビジョンに共感できる」と感じている人は
      「参加してよかった」と回答する傾向が高く「社内のコミュニケーションが円滑」と感じている人は
      「楽しかった」と回答する傾向が高い。また、「仕事をしていると活力がみなぎる」と感じている人は
      「感動した」と回答する傾向が高い
16.参加したい社内イベント、1位「豪華な施設や食事」、2位「学ぶ・学びを活かせる」、3位「リアル開催」


【まとめと提言】
▪️ 周年記念イベントは社員への強力なメッセージ、イベントを通して社員との絆を強める
▪️運営のスムーズさは鉄則、感動は一体感と参加している実感、サプライズから
▪️日頃の理念浸透、コミュニケーション、ワーク・エンゲージメントは周年記念イベントと地続き
   事前・事後の一貫した取り組みで組織活性化を
▪️ホスピタリティと学びとリアルで創る周年記念イベントを

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 近年、企業などの組織においては「創立○○周年」「設立○○年記念」などの節目を祝うイベントや式典、パーティなどが開催されています。周年記念イベントや創立記念イベントと呼ばれるこれらの催しは、社員全員で会社の歴史を振り返ったり未来のビジョンを共有したり、また社員と会社、あるいは社員同士の交流を深めたりすることで、組織運営によい影響をもたらそうとするものです。しかしその実施に際しては、節目であるがゆえに前回の開催から年月が経過しマニュアルが残っていないあるいは社会環境の変化に応じた新たな企画設計が必要になるなどの課題もあります。組織にとって重要な記念行事であり、成功すれば良い効果が見込めるものの、失敗の可能性も秘めているのが実情であり、その企画や運営に担当者が悩みを抱えることも多いと考えられます。
 このたび、JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下JCD)は、ワーク・モチベーション研究所にて、「会社の周年記念イベントによる社員のモチベーション向上に関する調査」の報告書をまとめました。本調査では、「会社の周年記念日のイベントやパーティ」に参加した人にアンケート調査を行い、周年記念イベントの効果や成功要因・失敗要因を探りました。また自由記述による回答を複数設定し、生の声に近い内容を収集し把握にも努めました。本調査は、今後の企業経営における周年記念イベントの意義と方向性、具体的な方法などを定める上での指針となり、企業内のコミュニケーションデザインを考える上での資料となることを目的としています。

【調査概要】

調査方法 インターネットリサーチ
調査地域 全国
調査対象者 20歳以上の会社員(会社規模500名以上)
「会社の創立記念日のイベントやパーティ」に参加した人を対象に、「印象に残った創立記念イベントやパーティ」を1つ思い出していただき、回答を求めました。質問票では調査対象者にとっての理解しやすさの面から「創立記念」の表記を用いましたが、本集計においては同種の節目行事の総称として「周年記念」の表記に統一しています。
有効回答者数 819サンプル(男性:624サンプル、女性:195サンプル)
実施期間 2026年7月3日~7月6日

                   

<主な調査結果>

周年記念イベントに参加した経験があると回答した人に対して、「印象に残った周年記念イベント」を1つ思い出していただき、回答を求めました。以下、回答の集計結果を示します。いくつかの項目については、2016年の「社内イベントに関するコミュニケーション調査」の結果(以下、2016年調査結果と表示)、2022年の「社内イベントのコミュニケーション効果に関する調査」の結果(以下、2022年調査結果と表示)を引用しつつ解説します。2016年調査と2022年調査は社内イベント全般についての調査であり、今回の周年記念イベントについての調査との単純比較はできませんが、参考としてご覧ください。

1.周年記念イベントの63.1%がリアル参加中心の開催
 周年記念イベントに参加した 819 人に、その実施形式を聞いたところ、「すべてリアル」(37.0%)や「リアル多めハイブリッド」(26.1%)などリアル参加中心の回答が合計63.1%を占めました。参考値として2022年調査結果を見るとリアル参加中心の回答は 31.8%ですので、倍以上に増えていることになります(図 1)。単純比較はできませんが、コロナ後のリアルや対面へのシフトの動きが反映されていると考えられます。

図1.jpg

【選択肢について】
(1)  ほぼすべてオンラインで行われ、参加者は一人一人別の場所からオンラインで参加した
(2)  主にオンラインで行われたが、一部の参加者はイベントの会場(ホールや会議室など)に実際に集合して参加した
(3)  オンラインで参加する人と、イベントの会場(ホールや会議室など)に実際に集合して参加する人とが、半々くらいの割合だった
(4)  イベントの会場(ホールや会議室など)に多くの参加者が実際に集合したが、一部がオンラインの形(一部の参加者がオンラインで参加したり、会場と会場をオンラインでつなぐなど)が取り入れられた
(5)  イベントの会場(ホールや会議室など)にほぼすべての参加者が実際に集合する形で行われた

2.社員の7割以上参加が64.8%、アルバイト、パート社員含めてすべての勤務者が参加も38.8%
 周年記念イベントについて、参加した社員の割合を聞いたところ、「全社員の7〜8割」(35.9%)と「全社員の9〜10割」(28.9%)を合わせた「7割以上」が64.8%を占めました(図2-1)。
また、参加対象者については、「正規雇用の社員やフルタイム勤務の社員のみ参加できた」が51.3%と過半数を占めた一方で、「アルバイトやパート社員含めて、勤務する人すべてが参加できた」も38.8%と、雇用形態にかかわらず全員が参加できる形式も全体の約4割に上りました(図2-2)。

図2-1_2new.jpg

3.社員以外も参加できるケースが7割
 パートナー企業・取引先企業の社員の参加51.4%、
 社員の家族や親しい人の参加38.9%(複数選択による回答の結果を集計)

 周年記念イベントにおける社外の参加対象者を聞いたところ、「パートナー企業・取引先企業の社員」が参加したケースが51.4%、次いで「社員の家族や親しい人」が38.9%、「一般のお客様」が29.5%となりました。
一方、「企業・団体外の参加対象者はいない」は 30.9% にとどまり、約7割の企業で周年記念イベントに社外の関係者が参加していることが示されました(図3)。

図3_new.jpg

4.周年記念イベントに含まれる内容は、社長や経営陣からのメッセージ72.0%、
    料理や飲み物の提供65.4%、社員の表彰60.2%、会社の歴史や理念を表す映像の
    投影も52.0%(複数選択による回答の結果を集計)

 周年記念イベントに含まれる内容を聞いたところ、「社長や経営陣からのメッセージ」が 72.0%と最も高く、7 割以上のケースでトップのメッセージが含まれることがわかりました。次いで「料理や飲み物の提供」が 65.4%、「社員の表彰」が 60.2%、「会社の歴史や理念を表す映像の投影」が 52.0% という結果でした。いずれも5割以上の高い数値であり、周年記念イベントの多くにこれらの内容が含まれることが示されました。また、「社員の様子を撮影した映像やビデオメッセージなどの投影」(45.5%)や「社員が参加するクイズなどのゲーム」(41.6%)といった、社員参加型・エンターテインメント要素のあるコンテンツも4 割台で実施されています(図 4)。

図4.jpg

5.「感動した」と回答した人が参加したのは、社外の参加対象者がいる、社員の表彰が
    ある、会社の歴史や理念を表す映像などが含まれる周年記念イベント

 周年記念イベントに参加して「感動した」と回答した人の傾向を把握するため、「感動度」別の集計を行いました。すると、「感動した」に肯定の回答をした人(以下、【感動した】肯定者)では、参加対象者の中に「パートナー企業・取引先企業の社員」(63.2%)や「社員の家族や親しい人」(49.1%)が含まれる割合が全体に比べて顕著に(全体比+10pt以上)高いことがわかりました。一方、「感動した」に否定の回答をした人(以下、【感動した】否定者)では「企業・団体外の参加対象者はいない」が全体平均を大きく上回っています(図 5-1)。社外関係者を巻き込んだイベントに参加した人ほど感動度が高いことがわかります。 
 さらに、「感動度」別にイベント内容を集計しました。すると、【感動した】肯定者では「社員の表彰」(67.5%)、「会社の歴史や理念を表す映像の投影」(60.7%)をはじめ、映像演出や参加型コンテンツを含む多くの項目で全体比+5pt 以上高い数値が示されました。これらの内容が参加者の感動に関連する可能性が示されました。一方、「社長や経営陣からのメッセージ」は「感動度」による差は見られませんでした(図5-2)。

図5-1.jpg

図5-2.jpg

6.「参加してよかった」71.3%、「ワクワク感や興奮があった」69.2%、
   「楽しかった」68.5%

 周年記念イベントに参加した感想について、楽しかった、感動したなどの情緒面に絞って聞いたところ、「参加してよかった」が 71.3% で最も高く、次いで「ふだんの生活とは違う、ワクワク感や興奮があった」が 69.2%、「楽しかった」が68.5%となりました。また、「エモい」*瞬間があったと回答する人も44.4%いました。7割前後の参加者が満足感や高揚感を持ち、また「エモい」などの心に響いたケースも4割以上あったことがわかりました(図 6)。
 グラフにはありませんが、性別や役職別、年代別に見ると、性別では全般に大きな差異はなく、役職が高いほど「参加してよかった」「ワクワク感や興奮があった」「楽しかった」などの数値が高く、20代、30代で「エモい」の数値が高い傾向がありました。
 ※「エモい」は emotional(感情的な) に由来し、感情が揺さぶられる状態を示す言葉で、近年若者を中心に使われています。2016 年および2022 年調査にはありませんが、本調査より新しく設問に入れたものです。

図6.jpg

7.「会社としてよいこと」75.8%、「目的が伝わった」66.4%、「他の部門と交流でき
    た」65.2%

 周年記念イベントに参加した感想を、目的や効果に対する評価に絞って聞きました。その結果、「会社としてこうしたイベントを行うのは、良いことだと思った」が75.8% で最も高く、イベントの開催が会社への評価につながっていることが示されました。次いで「イベントや式典の目的が伝わってきた」が 66.4%、「他の部門と交流できた」が65.2%、「自分たちは会社から大切にされていると感じた」が65.1%と続き、目的の理解や他部門との交流、会社とのつながりの実感が得られたことがわかりました。
 また、理念・戦略浸透や組織へのエンゲージメントに関する項目を含め、提示した全 15 項目において過半数(54.9%〜75.8%)の肯定的回答が得られました(図 7)。
 グラフにはありませんが、性別や役職別、年代別に見ると、性別では大きな差異はなく、役職が高いほど全般的に数値が高く、年代では50代で全般に低く、60代で全般に高い傾向がありました。

図7.jpg

8.周年記念イベントの3大事後効果、1 位「職場の中でコミュニケーションが増えた」、
  2 位「他の部門と仕事がしやすくなった」、3 位「仕事に対するモチベーションが
 上がった」

 社内イベント実施後の職場の変化について聞いたところ、「職場の中でコミュニケーションが増えた」(62.3%)が最も高く、以下、「他の部門と仕事がしやすくなった」(60.9%)、「仕事に対するモチベーションが上がった」(60.0%)が続きました(図 8)。参考値として 2016 年および 2022 年調査結果を見ると、上位 3 項目は本調査と同じでした。「コミュニケーション増加」「部門間交流促進」「モチベーションアップ」は周年記念イベントにおける3大事後効果と考えられます。

図8.jpg

9.成功要因は、1 位「食べ物や飲み物」、2 位「進行がスムーズ」、3 位「会場内の環境」
 「感動」につながるのは、「社員全員が同時に同じ体験」「会社や、同僚・上司の理解
  促進」(複数選択による回答の結果を集計)

 周年記念イベントの良かった点について、あてはまる選択肢をすべて選んでもらいました。全体を集計すると、「食べ物や飲み物」が最も高く、次いで「会場内の環境が快適だった」、「進行がスムーズだった」が上位を占め、運営・環境面の重要性が示されました。一方、イベントに対する「感動度」別で比較すると、「感動した」に肯定の回答をした人(【感動した】肯定者)
 では、「社員全員が同時に同じ体験ができたこと」(38.0%)や「会社や同僚・上司について知ることができたこと」(34.8%)において、スコアが全体を大きく上回り(全体比+10pt 以上)、【感動した】否定者とのギャップが顕著に示されました(図 9)。
 これらの結果から、全般的な成功要因としては飲食や進行などの運営・環境面が重要であり、さらに感動に関連する成功要因としては「社員全員での体験」や「同僚・上司との交流」などのソフト面が重要であることが推測できます。

図9-1.jpg

10.自由記述から見える周年記念イベントの「よかった点」「社員同士の親睦が深まった
   /他部署との交流」が群を抜いて高く、次に「楽しかった/和気あいあいとして
   いた」

 周年記念イベントの良かった点について、自由記述の内容に基づいて分類を行いました。すると、「社員同士の親睦が深まった/他部署の人とも交流できた」(17.9%)が最も高く、2 位以下に10pt以上の差をつけて最多となりました。次いで、「楽しかった/和気あいあいとしていた」(7.3%)、「会社の歴史を知れた・振り返ることができた」(6.3%)、「食事が良い・美味しかった/食べ放題・飲み放題だった」(6.1%)が続いています(図 10-1)。
 具体的な記述を見ると、「上の偉い人とフランクにしゃべれたこと。」や「違う部署の人と会うことができ、仕事内容などを聞けて、とても勉強になったし息抜きになった。」など、職位や部署の垣根を越えた交流に満足する意見が多く見られました(図 10-2)。
 自由記述の分析では、前項の9のように選択肢から選ぶ形式の回答とは違った結果が示され、親睦や交流の重要性が強く示されました。

図10-1.jpg

図10-2.jpg

11.「うちの会社って良いことをやってるんだ」「うちの会社って、そういう歴史があった
   んだ」などが「感動度」と関連

  周年記念イベントで抱いた気持ちについて、あてはまる選択肢をすべて選んでもらいました。「うちの会社って、そういう歴史があったんだ」「うちの会社って、なかなか良いことをやってるんだ」が上位を占め、会社への認識をあらたにした参加者がいたことがわかります。
 回答を「感動度」別に集計すると、「感動した」に肯定の回答をした人(【感動した】肯定者)では「うちの会社って、なかなか良いことをやっているんだ」(44.5%)の割合が最も高く、次いで「うちの会社って、そういう歴史があったんだ」(42.7%)、「うちの会社の社員の人たち、いいな」(40.2%)、「この会社に入ってよかった」(38.4%)と続き、これらの項目はいずれも他の層と比べて顕著に高い数値を示しました。一方、【感動した】否定者では「疲れた」(37.6%)や「つまらない」(29.1%)といったネガティブな所感が約3〜4 割と、他の層と比べて明確に高い結果となりました(図 11)。

図11.jpg

12.自由記述から見える「印象に残っている内容」「ビンゴ大会」が最多、
   その他「ギネス世界記録™への挑戦」、「開催場所にちなんだコスプレ」、
   「経営陣のやらかし告白」など

 周年記念イベントで印象に残っている内容について自由記述で回答を求めました。その内容を分類すると、「ビンゴ大会」が 5.4% で最多となりました。次いで「食事/食事会(食べ放題・特別メニュー)」が 3.5%、「会社の歴史を振り返る企画(スライド・ムービー)」が 3.4%、「社長・経営陣のスピーチ/経営陣のトークセッション」が3.1% と続いています(図 12-1)。
 自由記述の内容を見ると、「会社の創立 50 年の歴史をスライドで振り返ったコーナーでは感慨深いものがあった。」等の記述に加え、「出席者全員によるかき氷を時間内に食す事でギネス世界記録™に挑戦して、見事に達成しました。」や、「会場が結婚式場だったので、ウェディングのコスプレ大会があった。」のほか、「経営陣が過去にやらかした「今だから言える大失敗」などをユーモア交じり告白するトークセッション」など、ユニークな企画を挙げるコメントも見られました(図 12-2、12-3)。

図12-1.jpg

図12-2.jpg

図12-3.jpg

13.失敗要因は 1 位「聞くだけで退屈」、2 位「社長・役員の話が長すぎる」、
   3 位「一部の社員のみだったこと」。
     オンラインでの実施では「会社や同僚・上司について知ることができなかった」が
   多い。リアルでの実施では「良くなかった点は特に思い当たらない」が46.9%と
    半数近い

 周年記念イベントの良くなかった点について、あてはまる選択肢をすべて選んでもらいました。すると、「一方的に聞くだけで退屈した」13.6%、「社長や役員の話が長すぎた、共感できなかった」12.7%、「一部の社員のみだったこと」11.1%が上位に上がりました。
 回答をイベントの実施形式別でみると、「ほぼすべてオンライン」で実施した層では「会社や同僚・上司について知ることができなかった」が 20.0% となり、全体と比べて10pt以上高い割合となりました。当項目は「主にオンライン」、「オンラインと実際に集合が半々」の層でも全体比+5pt 以上となっていることから、オンラインによるイベントの実施が人的交流や相互理解にマイナスの影響を与えていることが推測されます。
 一方、「ほぼすべての参加者が実際に集合(リアル開催)」した層では、良くなかった点は「特に思い当たらない」が 46.9% と半数近くに達し、リアル開催形式のほうがイベントに対する不満が生じにくい実態が示されました(図 13)。

図13.jpg

14.自由記述から見える周年記念イベントの「良くなかった点」
     「時間的拘束がある/所要時間が長かった」が群を抜いて高く、次に「(経営陣の)
     スピーチが長い・つまらなかった」、「進行管理がスムーズでない」

 周年記念イベントの良くなかった点について自由記述で回答を求め、その内容に基づいて分類を行いました。すると、「時間的拘束がある/所要時間が長かった」が 8.2% で最も高く、次いで「(経営陣の)スピーチが長い・つまらなかった」が 3.4%、「進行管理がスムーズではない/待ち時間が多い/時間が押した」が 3.2%、「参加人数が多すぎる/混雑・人の渋滞が多かった」が 3.1% と続いています。上位 2 項目はいずれも時間の長さに関する内容であり、参加者の時間に対するシビアな目線がうかがえます。また次の2 項目からは進行や参加人数などの運営に関する不満がうかがえます(図 14-1)。
 時間に関する自由記述としては、「イベントの開催時間が長く間延び感があった。」や「時間オーバーの演説が長くて眠くなった。」などがあり、進行や参加人数に関しては、「イベント会場への誘導サインやスタッフの配置不十分、不慣れなスタッフの対応力などに問題があった。」や「あまりにも人数が多いので、結局はいつも接する者同士としか話をしなかった。」などのコメントが見られました。(図 14-2)

図14-1.jpg

図14-2.jpg

15.日頃の思いが周年記念イベントへの満足に相関
   「会社の理念やビジョンに共感できる」と感じている人は「参加してよかった」と回答する傾向が高く

   「社内のコミュニケーションが円滑」と感じている人は「楽しかった」と回答する傾向が高く

   「仕事をしていると活力がみなぎる」と感じている人は「感動した」と回答する傾向が高い

 日頃から「会社へ感じていること」に関する回答と、「周年記念イベントに参加した感想」との関係を分析した結果、相関があることがわかりました。最も相関が強かったのは「会社の理念やビジョンに共感できる」×「参加してよかった」でした。次いで「社内のコミュニケーションが円滑である」×「楽しかった」、「仕事をしていると活力がみなぎる」×「感動した」と続いています。「仕事をしていると活力がみなぎる」はワーク・エンゲージメントにかかわる内容です。
 日頃から自社の理念やビジョンに共感していること、社内コミュニケーションに満足していること、そしてワーク・エンゲージメントが高いことが、周年記念イベントへの満足感につながることが示されました。

図15-1.jpg

図15-2.jpg

図15-3.jpg

16.参加したい社内イベント、1 位「豪華な施設や食事」、2 位「学ぶ・学びを活かせ     る」、3 位「リアル開催」
 参加したいと思う社内イベントについて聞いたところ、「豪華な施設や食事などが設定された社内イベント」が80.8% で最も高く、次いで「何かを学んだり、学びを仕事に活かしたりできる社内イベント」が78.8%、「オンラインではなく実際に集合して開催される社内イベント(リアル開催)」が 76.1% と続き、上位 3 項目がいずれも 7〜8割台の高い数値を示しました。施設や食事などの環境面への要望とともに、学びへの要望が強いこと、またリアルでの開催にも高い関心があることがわかります。
 参考として 2016 年および 2022 年調査結果と比較すると、全般的に数値は高い傾向があり、特に「リアル開催(2022 年比+16.5pt)」、「自分たちの手で作り上げる(同+17.9pt)」、「体を動かす/スポーツ(同+18.8pt)」などの伸長が顕著でした(図 16)。

図16.jpg

【調査対象者について】
 「20 歳以上の会社員(会社規模500名以上)かつ、「会社の周年記念日のイベントやパーティ」に参加した人」819人にアンケート調査を実施しました。回答者の属性は以下の通りです。

調査対象者について.jpg

<まとめと提言>
周年記念イベントは社員への強力なメッセージ、イベントを通して社員との絆を強める運営のスムーズさは鉄則、感動は一体感と参加している実感、サプライズから日頃の理念浸透、コミュニケーション、ワーク・エンゲージメントは周年記念イベントと地続き
事前・事後の一貫した取り組みで組織活性化を
ホスピタリティと学びとリアルで創る周年記念イベントを

 本調査では、周年記念イベントに参加した人へのアンケートにより、周年記念イベントの実態が明らかになり、またその効果および成功要因・失敗要因が示されました。以下、調査結果から推測される、これからの周年記念イベントの意義と企画・運営について解説します。

1.周年記念イベントは社員への強力なメッセージ、イベントを通して社員との絆を強める
 回答者全体の7割前後の人が周年記念イベントに対して「参加してよかった」「ワクワク感や興奮があった」「楽しかった」という回答をしています。また、「会社としてよいこと」と評価する回答は 75.8%と高い割合であり、「目的が伝わった」66.4%、「他の部門と交流できた」65.2%とともに周年記念イベントへの社員からの高い評価を示しています。前者の3項目は参加しているときのいわば没入感であり、後者の3項目は客観的にイベントと主催者である会社を評価した内容です。周年記念イベントには両方が必要といえるでしょう。没入できるような質の高いイベントであること、そして開催の目的や会社の姿勢がしっかり伝わることです。この2つは、会社から発せられる社員へのメッセージといえます。すなわち、このような高質のイベントを開催できる会社であり、且つ社員をもてなそうとしている、そしてその背景には一貫した目的や姿勢があるというメッセージです。
 例えば、参加対象者を誰にするかということも1つのメッセージになるでしょう。調査結果から、アルバイト、パート社員含めてすべての勤務者が参加したという回答が 38.8%あり、またパートナー企業・取引先企業の社員、社員の家族や親しい人なども含めて参加できることが「感動」に関連することが示されました。どこまでを参加範囲とするかという点が、すでに会社の姿勢を示しているといえます。イベントの内容に関しても、社員の表彰や会社の歴史や理念を表す映像などがあることが「感動」に関連していました。どのような内容を含めるかという設計も、やはり1つのメッセージになるでしょう。参加する社員は、こうした形態や内容からその背後にある会社の姿勢やイベントの目的を推測します。「うちの会社は、社員の家族や大切な人を含めて大切にして共に進んでいくのだ」、「私たち社員の日頃の働きに感謝しているのだ」、「会社の歴史や未来を全員で共有しようとしているのだ」などです。こうした目的や会社の姿勢を評価し、納得した場合には、会社に対して好感を持ち、会社の将来性に期待し、この会社で働き続けたいと思うようになると考えられます。
 周年記念イベントは社員への強力なメッセージであり、それが伝われば会社と社員との絆が深まることになります。


2.運営のスムーズさは鉄則、感動は一体感と参加している実感、サプライズから
 周年記念イベントの成功要因は、「食べ物や飲み物」「進行がスムーズ」「会場内の環境」など運営・環境面でした。これらの基本的な要素は、周年記念イベントを開催する上で鉄則といえるでしょう。一方、大きな失敗要因に挙げられたのは「時間が長い」「スピーチが長い」などの時間に関する内容でした。時間の長さを感じさせない円滑な進行やプログラムの組み方は非常に重要です。これらの運営・環境面の整備は、前項でも述べた会社の姿勢を表すメッセージにもなりますし、また快適さやスムーズさがあるからこそ、参加者は次の段階である交流や感動のステップに進むことができます。
 「感動」に関連する要素の1つは、「社員全員が同時に同じ体験ができたこと」でした。イベントなどの人が集まる催しは、同時性が重要な要素になります。全員が今同じ景色を見、同じ音を聞き、同じ空気の中にいると感じる一体感が感動につながるといえます。さらに、1人ひとりが参加しているという実感を持てることも重要です。「一方的に聞くだけで退屈した」が大きな失敗要因として挙げられたように、参加型の企画や双方向の演出が求められています。参加者同士で話ができることや、クイズやビンゴに参加する場面は重要といえます。社員がステージに登場したり社員をクローズアップした映像を投影したりすることも参加している実感につながります。
 「感動」に関連するもう1つの要素は「会社や、同僚・上司について知ることができたこと」でした。「うちの会社って良いことをやってるんだ」「うちの会社って、そういう歴史があったんだ」などの気持ちが「感動度」と関連していました。自由記述には「幹部、上長、同僚、部下の会社とは異なる姿がみれた」などのコメントがあり、20~30代を中心に「エモい瞬間があった」という回答も多く見られました。会社や他の社員への理解が深まり、知らなかった側面を知るというサプライズや気持ちを動かされる瞬間が感動の気持ちにつながったと考えられます。こうした場面を設定すること、参加者がこうした気持ちになるように全体の企画を作りこむことが大切です。
 周年記念イベントにおいて、運営のスムーズさは鉄則です。事前の準備や仕組みを万全に整える必要があります。さらにその先にある感動は一体感を持てる内容や演出、参加しているという実感が持てる場面の設定、そして会社について知ってもらう工夫、参加者同士の交流を促進して理解やサプライズを醸成すること、気持ちを動かすエモーショナルな瞬間を作ることで創出できるといえます。


3.日頃の理念浸透、コミュニケーション、ワーク・エンゲージメントは周年記念
   イベントと地続き
   事前・事後の一貫した取り組みで組織活性化を

 周年記念イベントの成否のカギは当日だけでなく、社員の日頃の思いとも関連することが示されました。日頃から会社の理念に共感できること、社内のコミュニケーションが円滑だと感じられること、ワーク・エンゲージメントを感じられることといった土台があることで周年記念イベントはより効果的なものになります。イベント開催に至る事前の取り組みとして、イベントそのものの準備のほかに社内の環境を整えていくことが重要であるといえます。イベント当日に向けて、各部門の中で会社の理念を再確認したり、上司と部下の対話の機会やチーム内での話し合いを持ったり、仕事の意義や目的を見直して互いのワーク・エンゲージメントを確かめ合ったりという取り組みが考えられます。また、そうした取り組みの成果を周年記念イベントの中で発表するなど、事前の活動と当日の内容とを連携させることで一層効果的な運用が可能となります。
 さらに重要なのは、高まった社員の思いをイベント終了後も継続させることです。調査結果からは、イベント実施後の職場の変化として「職場の中でコミュニケーションが増えた」、「他の部門と仕事がしやすくなった」、「仕事に対するモチベーションが上がった」が挙げられました。このような効果をさらに高めるために、あらかじめイベント終了後の取り組みを設計しておくことが大切でしょう。社員同士の交流によって生まれたつながりを事後の仕事の中でも生かせるように、部門横断的なプロジェクトを立ち上げたり、上司と部下との対話を継続して行ったり、一般社員と他部門の管理職との斜めの関係を活かしたメンタープログラムなどの仕組みを設けたりすることが考えられます。こうしたさまざまな角度から組織活性化を図ることで、周年記念イベントを一層意義あるものにすることができます。
 周年記念イベントを一過性の催しではなく、事前事後を含めた一貫した取り組みとしてとらえ、会社組織全体の活力を増大させるように設計することが大切です。


4.ホスピタリティと学びとリアルで創る周年記念イベント
 参加したい社内イベントをたずねると、「豪華な施設や食事などが設定された社内イベント」が 80.8% 、「何かを学んだり、学びを仕事に活かしたりできる社内イベント」が78.8%、「オンラインではなく実際に集合して開催される社内イベント(リアル開催)」が76.1%でした。豪華な施設や食事は納得感のある結果ですが、学びやリアル開催に関してはある意味で意外な結果が示されているといえます。多くの人が社内イベントに期待しているのは、豪華さという非日常のホスピタリティを体験することだけでなく、仕事に活かせるような何かを学ぶ機会であり、実際にリアルで集まって体験することでもあるのです。コスパ(費用対効果)、タイパ(時間対効果)といった言葉が示すように、コストや時間をかけずに結果を求める風潮がありますが、今回の調査の回答からは、それだけではない自らの学びや成長への強い関心や特別な体験に対する要望があることがうかがえます。
 今後の周年記念イベントやその他の社内イベントの企画・設計においては、こうした参加者の心情を汲み取る必要があります。十分なホスピタリティで参加者をもてなすことを基本にしつつ、何を学んでもらうのか、リアルで集まることでどのような価値を生み出すのかを十分に検討することが必要でしょう。

<関連記事はこちら>
【JCD NOW!】ワーク・モチベーション研究から考える、組織と社会の持続的発展
――多様化する時代に「やる気」をどう育むか(2025年10月27日配信)

お問い合わせ

この記事に関するソリューション