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管理職に「なりたくない」を「やってみたい」に変える!

―独自の人材開発プログラムで実現する次世代リーダーの育成

「管理職になりたい人が少ない」「次世代リーダーが育たない」――。多くの企業が抱えるこの課題は、組織の未来を左右する喫緊のテーマです。
人口減少や人材不足、価値観の多様化が進む中で、管理職は「業務負荷が高い役割」として捉えられがちです(※1)。一方で、組織の持続的成長において、人と人をつなぎ、現場を導くリーダーの存在がこれまで以上に重要になっていることも、また事実です。
では、管理職という役割を、単なる「負担」ではなく、「挑戦したい」「成長の機会」として捉え直すには、何が必要なのでしょうか。
本記事では、JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)がご支援している株式会社マルエツ様の事例を通じて、次世代リーダー育成における課題と、その解決に向けた具体的なアプローチを、担当コンサルタントの佐藤がご紹介します。
(※1)出典:株式会社 パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」

  1. JCDのモチベーション&ホスピタリティに関する研修プログラムが問い合わせの糸口に
  2. 人事担当者と相談しながら独自のプログラムを構築
  3. 現場に即したプログラムを設計し、理論で終わらせない工夫を
  4. 受講者の声も取り入れた継続的なプログラム進化
  5. 研修を通して管理職になりたい層を増やしていきたい

1 JCDのモチベーション&ホスピタリティに関する研修プログラムが問い合わせの糸口に

―マルエツ様の「管理職育成研修」をご支援することになったきっかけを教えてください。

首都圏を中心に多くのスーパーマーケットを展開されているマルエツ様では、職位に応じた教育制度を体系的に整備されており、その一環として女性従業員を対象とした「管理職育成研修」を独自に企画されていました。
管理職(店長)になることに不安を感じる従業員が一定数いる中で、管理職の役割や意義を伝え、自己成長につなげる機会として、全3回の研修を計画されていました。特に3回目では「リーダーシップ」や「コミュニケーション」をテーマに据え、人の行動を喚起する「モチベーション」や、信頼関係構築に欠かせない「ホスピタリティ」の理論(※2)を取り入れたいというご要望があり、JCDにお問い合わせをいただきました。
私自身、過去に小売業に従事していた経験があり、現場の実情を踏まえた研修設計ができることから、担当を務めることになりました。
(※2)JCDは、長年の調査・研究により個人を動かす「モチベーション」と、顧客や組織への信頼獲得のための「ホスピタリティ」に関する独自メソッドを保有し、この独自メソッドを通じて1,000社を超える企業・官公庁等への組織開発・人材開発のコンサルティングを行っています。

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2 人事担当者と相談しながら独自のプログラムを構築

―プログラム構築の際、クライアントからどんなご要望がありましたか。

この研修は受講者にリーダーシップを身に付けていただくことが目的でしたが、マルエツ様と相談した結果、その手段として最終的に「コミュニケーション」にフォーカスを当てることになりました。
スーパーマーケットは、社員やパート、アルバイトなど多様な立場の仲間だけでなく、お客様や取引先など様々な人と関わる職場です。年齢、性別、経験も多様なバックグラウンドを持つ人々と円滑なコミュニケーションを図ることが、店長にとって不可欠な要素です。また、ビジョンの共有や、職場の仲間のモチベーション向上にも、コミュニケーション能力は欠かせません。私も小売業時代は、年上のスタッフとのコミュニケーションに悩んだ時期があり、講師でありながらもそういった実体験を織り交ぜて、より現場で役立つ研修にしてほしいというのがマルエツ様のご意向でした。

3 現場に即したプログラムを設計し、理論で終わらせない工夫を

―実際に研修する際は、どのようなことを意識して伝えていきましたか。

研修では、JCDが開発した「インナーコミュニケーションメソッド」を中心に構成しました。本メソッドは、長年にわたる調査・研究で培ってきた「JTBホスピタリティマネジメント」の知見を基に、社内のコミュニケーション強化と組織活性化を目的として体系化したものです。「ホスピタリティメソッド」が"お客様が感じるサービス価値要因"を起点としているのに対し、「インナーコミュニケーションメソッド」は、一緒に働くメンバーが感じる価値に着目し、信頼関係構築に必要な要素を「6つのレベル/23の価値要因」として整理しています。

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また、このメソッドでは、職場で一緒に働くメンバーとの信頼関係構築に欠かすことなく実践したい「基本的要因」と、相手から「また一緒に仕事をしたい」と思われる関係を構築するための「情緒的要因」を定義しています。

now-251225-management_training_insert_method3.jpg研修の前半では、この「基本的要因」と「情緒的要因」の2つを軸に、コミュニケーションで目指すべき方向性をお示しし、店長として職場でどのようなポイントに気をつけてコミュニケーションを深めていただければいいかをお伝えしました。
また後半では、「洞察・察知」という行動に焦点を当て、従業員が言葉にしていない思いや変化をどのように感じ取り、行動につなげるかを考えていただきました
具体的には、店舗で起こり得るケーススタディを用いて、「自分ならどう対応するか」を考えるワークを取り入れたことで、研修後に、「実際の現場で似た場面があった」「もう少し詳しく知りたい」といった質問も多く寄せられ、関心の高さを実感しました。

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4 受講者の声も取り入れた継続的なプログラム進化

―回を追うごとに、研修内容に変化は生まれているのでしょうか。

研修は、2024年度に第1期がスタートして以来、2025年度には第4期、第5期と継続して実施されています。当初は、女性管理職の育成を目的として女性限定で公募と推薦という形で参加者を受け付けていましたが、4期以降は男女の区別をなくし広く門戸を開放したところ、希望者が増え、全て公募による参加となりました。
プログラム内容も、受講者のフィードバックを積極的に取り入れながら進化しています。例えば、第2期からは「ロールプレイング」を導入し、研修時間も1時間延長しました。ロールプレイングのテーマは、人材戦略部に寄せられた実際のコミュニケーション課題を基にしており、より実践的な内容で受講者の学びを深めています。
研修の最後には、個人ワークとして「マイ・クレド(行動指針)」の策定を行います。これは、研修で学んだことをどのように自身の業務や行動に活かしていくのかを具体的に言語化し、行動宣言を促すものです。学びを行動へと繋げるための重要なステップとなっており、第4期研修では、受講生の要望を受けてこの策定時間を延長するなど、より深く内省し、具体的な行動計画を立てられるようにしました。

5 研修を通して管理職になりたい層を増やしていきたい

―研修の実施を重ね、見えてきた効果などはありましたか?

「研修に参加することで、前向きな行動をしている方と話すことができ、刺激を受けた」「本社勤務者の方や、他店舗勤務の方とのコミュニケーション機会を持つことが出来、人脈が広がった」というお声が増えたとお聞きしました。
また、研修で習得したスキルを「意識して実践してみている」「対応方法の引き出しが増えた」と話されている受講者が増えていることも伺い、研修が単なる座学で終わらず、実践的な学びにつながっていることを実感いたしました。
研修の参加希望者が増えていることは、社内周知されてきたことに加え、受講者の「口コミ」による効果も大きいと感じています。
実際に管理職になられた方もいらっしゃると伺い、大変嬉しく思います。研修を継続して実施することで、管理職へのチャレンジを後押しする土壌が少しずつ広がり、管理職に対する意識向上、意欲醸成につながるご支援を続けてまいりたいと思っております。

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このように、管理職の業務負担の大きさから、女性・男性を問わず「管理職にはなりたくない」という声を耳にすることは少なくありません。「自分に務まるだろうか」と感じている方々のマインドを、「自分も挑戦してみたい」という意識へと転換していくことが、私たちに求められている課題だと考えています。
この課題に向き合い、解決していくことは、企業の持続的成長のみならず、日本全体の経済や社会の活力にもつながります。ダイバーシティを尊重し、誰もが自分らしく活躍できる環境を整えることは、労働人口減少という社会課題への対応であり、同時に企業経営の持続可能性を高める重要な要素です。なぜならビジネスを支えているのは、まさしく「人」だからです。
JCDは、社員一人ひとりが力を発揮できる成長支援を目指し、独自のメソッドに基づく調査・研修・組織コンサルティングを通じて、企業や組織におけるコミュニケーション課題の解決に、これからも取り組んでまいります。

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