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集わない時代のエンゲージメントの高め方セミナーレポート

Withコロナ時代における組織コミュニケーションのあり方を探る

新型コロナウイルス感染拡大は、社会活動全体に大きな影響を及ぼしています。なかでもビジネスの現場では、在宅勤務やテレワークの標準化が推進されてきました。仕事の進め方の面でも、人との関わり方についても、これまで以上に新しい対応が求められています。そのような状況を踏まえJTBコミュニケーションデザインでは、2020年5月28日、「集わない時代の従業員のモチベーションやエンゲージメントの高め方」について、HRコンサルティング局 チーフコンサルタント 野本明日香によるセミナーを開催しました。本セミナーは、当社がお客様向けに主催するセミナーとして初めてオンライン形式での開催となりました。本記事では、当日のセミナー内容をレポートします。

新型コロナ収束後、"ニューノーマル"な働き方のスタイルへの移行

新型コロナウイルスが一旦は収束の兆しを受け、全国的に発令された緊急事態宣言が5月中旬から順次解除されました。しかしながら更なる感染症拡大防止を考えると、今後も人が集わない・集えない状況が続く可能性は高いでしょう。こうした状況下においてリモートワークの普及が加速度を増し、新しい働き方や事業継続のための高いレジリエンス(困難や変化に対して柔軟に適応する力)が求められています。"ニューノーマル"といわれるように、新型コロナが収束した後の"普通"は、もはやこれまでとは様々な点で違う"普通"になることが予測されます。
感染症以外にも、突発的な災害に対処するために、"新しい生活様式"に準拠したスタイルがビジネスの世界でも標準化され、リモートワークなどは一気に普及していくことが予見されています。

今回のオンラインセミナーは、Microsoft Teamsを利用して配信しました。
今回のオンラインセミナーは、Microsoft Teamsを利用して配信しました。

コロナ禍で、働く人のモチベーションは変わっている

今回、セミナー実施前の2020年5月に「新型コロナ影響下における働くモチベーションアンケート」を行いました。勤務体系としては、「完全在宅勤務になった」という人の割合が40.1%、「一部在宅勤務になった」人が27.1%と全体の7割近くの人が、在宅勤務をしているという結果となりました。次に、仕事の生産性の変化について質問したところ、生産性が上がったという人は、「仕事に集中しやすい」「通勤時間がなくなったので、体力や時間を仕事に向けられる」といった前向きな回答が得られました。その反面、生産性が下がったという人は、「コミュニケーションのレスポンスの時差」や「情報共有が上手にできない」「オフィス同様の環境を自宅で用意できない」「子供がいるので集中できない」と言った声が挙がってきました。

コミュニケーションの変化の面でみると、「良好になった・変わらない」が全体の7割を占めています。こうした回答をした人に共通しているのは「オンラインツール(チャットやオンライン会議)が使いこなせている」ということです。一方コミュニケーションが悪化したと思う人は「雑談がなくなった」など、仕事の進捗以外での変化やアイデアの領域が狭くなったのが特徴です。
モチベーションについても2割強の人が上がったととらえ、逆に3割の方が「仕事がなくなった」などの理由でモチベーションが下がったと回答しています。

新型コロナ影響下における働くモチベーションアンケート結果グラフ

これらのことから考察すると、モチベーション・コントロールのトレーニングでも使われる概念である"内発的動機付け"と"外発的動機付け"の関係が浮かび上がってきます。今回アンケート結果からは、モチベーションが上がった・変わらないという人は、自身でやりたいことや目標を持っているなど、モチベーションが内発的な動機付けに支えられていることがわかりました。逆にモチベーションが下がったという人は、周囲とのコミュニケーションや家庭における仕事環境など、自身の周りから影響を受ける外発的な要因が作用しているのです。

またアンケートからはモチベーションとコミュニケーション、そして生産性には相互に相関関係がみられることもわかりました。その要因としては、仕事の有無やリモートでの仕事のしやすさ、情報の共有、自己管理能力が影響を与えているのです。新型コロナによる制約があっても、モチベーションやコミュニケーションが上手くいっている人は、元々目標や役割が明確で自律的な仕事をしています。オンラインツールを活用できる職場では、コミュニケーションも円滑で、モチベーションも生産性も高いと言えそうです。

今後のモチベーション向上には、リモートワークなどの新しい業務に適応した組織や業務、コミュニケーションのデザインが鍵になっていくのではと考えます。そしてモチベーションを活かして生産性を上げていくためには、良好なコミュニケーションが必要です。そのためには会社や組織の対応が重要な役割を担います。従業員自身のモチベーションマネジメント、管理職がチームのモチベーションをマネジメントしていくなどのモチベーション・リテラシーの浸透や、良好なコミュニケーションを得られる風土づくり、そして環境面・業務プロセス・メンタルモデルを伴った生産性を高める仕事の仕方へのシフトなどが、これからの働き方に影響を与えるのは必須です。

「予測しにくい」「答えがない」そして「つながりにくい」状況でのコミュニケーションのあり方

今を取り巻く状況を端的に表せば「予測しにくい」「答えがない」そして「つながりにくい」と言えるでしょう。新型コロナウイルスが一旦は収束しつつあるなかで「予測しにくい」状況は解消されつつありますが、ことビジネスの側面から捉えると予断を許しません。「答えがない」問いへの対処としては、将来的なビジョンや戦略を描く必要があります。

「つながりにくい」問題は、コミュニケーションの量と質がポイントになってきます。「つながりにくい」問題については、リモート環境化では実は"つながりにくいようにみえる"だけであって、情報発信量や情報交換量とその頻度をあげることが大切。オンライン上でコミュニケーションの質を高めていくためには、発信力・受信力・思考力を鍛えること。その作業をルーティン化していくことで、モチベーションそのものも上がってきます。エンゲージメントという観点から考えると、双方に信頼関係を築くことも大切になってきます。

人の心理行動グラフ

私たちは相手が信頼に足るかを判断するまでに、その人の言動からその行動を司る「価値観」を推察するということを行います。その人がいったい何を実現したいのか?果たしたい役割は何なのか?そして その人が大切にしたいことは何なのか?こういった内容を行動や人となりなどから推察するのです。下の図は、人の心理構造を階層化したものですが、下の階層のものが上の階層ものに対して影響を与えやすいと言われています。

つまり、信頼関係を構築する時には、そのベースになる「価値観」「ミッション」「ビジョン」をしっかりと共有することが重要なのです。ただ通常でも、私たちがコミュニケーションをとるときには、いつ、どこで、何をどのようにするか、といった環境・行動レベルでの話が非常に多く、その礎となっている価値観とか、ビジョンとかといった話というのはあまりできていないということが多いのです。そしてそのような心理的に深い部分は、対面時に非言語で情報収集されるケースが多く、オンラインでのコミュニケーションの際には、普段は動きや表情で感じ取っていたところがより捉えにくい環境になっています。ですから今こそ、価値観・ミッション・ビジョンをしっかりと言語化して共有することがより大事になっているのです。

コミュニケーションのあり方は、人同士だけのものではありません。個人と会社(組織)でも同じことです。オンラインであろうが、リアルであろうが関係なく、理念やビジョン、価値観を個人と組織が共に共有できればエンゲージメントが高まり、目指す方向が一致することで成果が上がります。

個人と組織の一致グラフ

今こそ組織のあるべき姿を描き、再構築するチャンス

エンゲージメントは深いビジョンやミッション、価値観が両者の間で共有されていれば、必ずしもリアルで集わなくても高めることが可能だと思います。ただし、集うことの意味はあります。リアルならではの非言語的な場の雰囲気や同じ場を共有するインパクトは計り知れませんから。肌で感じられる大切な要素は、実際にリアルでの対面にはかないません。

ここで改めて組織改革の観点で考えると、今は非常にチャンスの時でしょう。組織というのは変えやすい時期と変えにくい時期があります。新型コロナウイルスが蔓延するという外的なショックは、組織を構成する人たちに大きな変化への適応準備を促すため、意識や行動が変わりやすい環境にあると言えます。この3ヶ月間くらいがまさに狙い目の時期です。まずは組織のあるべき姿を描いて、コミュニケーションやモチベーションをデザインしてください。ポイントは、不要と思われるものは手放し、本当に必要なものは何かという本質を押さえて、再構築をすることです。

モチベーションやコミュニケーションのあり方を考える時は、コロナ対応期から土台リニューアル期、ニューノーマル模索期、ニューノーマル期へとステージ毎に考えると良いでしょう。モチベーションやコミュニケーションそのものの理想とされるあり方がそれぞれのステージで変わっていくからです。

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このようにステージ毎にモチベーションとエンゲージメントを高める策を考えるのがおすすめです。まずは、今の自身や部下、組織のモチベーションがどのような状態なのかを把握し、マネジメントをしていくというモチベーション・リテラシーを高めることです。
コミュニケーションでは、オンラインでの質と量を向上させ、情報の共有や参加者の雰囲気が伝わる仕掛けや余裕が感じられるように、遊びの要素をとりいれることも大切です。

集わない時代、モチベーション&エンゲージメントを向上させるために

まずは従業員が何を感じ、何に困っているのか、現状をしっかりと把握することが最初のステップです。それをもとに組織の現状を可視化してください。コミュニケーションの状態や業務プロセス、マネジメントの状態など問題点がはっきりとしたところから対策を講じてみましょう。そしてなによりもモチベーション・リテラシーやコミュニケーションスキル、発想力を高めていけば、集わない時代に即したモチベーションやエンゲージメントが向上する有効な一手となりえるでしょう。

<関連するソリューション>

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