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Z世代の旅は、「旅好きな一般ユーザーの投稿」から始まる。
現役大学生とのワークショップで見えた"界隈別カスタマージャーニー"

多種多様な界隈の人に響く「いいね」をたくさん作る、テーマ軸での情報発信とは。

JTBコミュニケーションデザイン(JCD)では、過去にもZ世代の旅に関する詳細な分析を行い、その結果を「Z世代レポート『令和的非日常』」として公開しています。調査結果で判明した「他人のSNS投稿が旅の起点となる」というZ世代の特性をさらに深く掘り下げるべく、現役大学生たちと協働し、彼らの視点から「どのようなSNS投稿が旅のきっかけとなるのか」を探求しました。JCDのストラテジックプランナーである畑下と吉濵がZ世代の心に響くコミュニケーションのヒントを提供します。

※Z世代...1996~2012 年頃に生まれ、幼少期からスマートフォンや SNS に触れて育ったデジタルネイティブの人たちを指す。
※本ワークショップは、明海大学のホスピタリティ・ツーリズム学部の五十嵐ゼミ・渭東ゼミの協力のもと2025年度に実施したものです。

※資料DLはこちら
Z世代が旅に求める「令和的非日常」とは|JCD NOW!|株式会社JTBコミュニケーションデザイン

  1. Z世代である現役大学生が、旅に行きたくなるSNS投稿とは?
  2. そそられるのは「旅好き一般人」の投稿。公式情報よりも等身大のリアル情報が旅の入口
  3. 友人に真似されたと思われるのは「気まずい」。自分が属する「界隈(=趣味や価値観でつながるコミュニティ)」を意識して旅先を選ぶ
  4. 複雑化するカスタマージャーニー。TikTokは見るが、載せるのはInstagramと、SNSを使い分ける
  5. 令和の「界隈別カスタマージャーニー」は、「関係人口」を増やし、地域を良くする起爆剤にもなり得る

1 Z世代である現役大学生が、旅に行きたくなるSNS投稿とは?

―Z世代の旅のトレンドを掴むことは、現代のツーリズム市場において成功の鍵を握ります。JCDでは、Z世代の旅に対する深い洞察を得るため 2024年に「Z世代の旅行スタイル」に関する調査を行いました。その2024年の調査を今一度振り返ってみると、Z世代はどんなことを旅に求める傾向にありましたか?

畑下
Z世代は情報収集やコミュニティにおいてデジタルツールを自然に使いこなせるのが特徴です。反面、彼らはSNSなどのデジタルを断ち切れない日常を過ごしています。前回の調査では、その疲れから心理的に距離を置き、他者に気を遣わず自分自身を取り戻すための "快放されるひととき"を旅のキーワードに掲げていました。平成の「今の自分、輝いています」という自己演出をする旅から、「自分自身の癒し、心地よさ」を好む旅に、価値観が変化しています。

吉濵
同じく前回との調査では、SNSの投稿がZ世代の旅に出るきっかけになっていました。このことから今回のワークショップでは、「どんなSNS投稿が、現役大学生の心を動かすのか」をテーマに、約30名の大学生たちに話を聞きました。
事前に「旅のきっかけとなった」、「旅行に行きたいと心動かされた」SNS投稿を記入した調査シートをもとに、グループごとに議論してもらう内容です。参加者はZ世代の次のα世代に近い年代でもあるので、その違いも探る目的としました。

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明海大学でのワークショップの様子

2 そそられるのは「旅好き一般人」の投稿。
   公式情報よりも等身大のリアル情報が旅の入口に

―ワークショップでは、どんなSNS投稿が支持されていましたか?

畑下
大きく3つに分かれました。1つめは、非日常的な風景です。高知の四万十川、福島の磐梯吾妻の絶景、スイスやオーストラリアの自然などです。なかには「旅館のあそこ」といわれる客室のレトロな広縁の画像もあって、現代の生活様式にはない、和風のたたずまいに非日常を感じているようでした。
2つめはインフルエンサーや推しの投稿、3つめは、「○○6選」「○○まとめ」といった投稿でした。投稿を見るタイミングは、旅の計画をしている時だけではなく、家でまったりしている時にSNSでなんとなく目にしたという学生も多かったですね。

吉濵
彼らが「旅好き一般人」と表現する人のSNSが高く支持されていたのも印象的です。自分の等身大に近い、一般の人が実際に旅したリアルな情報が知りたいそうです。
反対に、公式情報や旅行メディアの投稿を挙げた人が誰もいなかったのは驚きでした。前回の調査でも「旅のきっかけにはならないが、旅行プランを検証するためだけに使う」という意見があり、公式情報や旅行メディアの投稿は少なくとも令和の若者の旅の動機になりにくい傾向があるようですね。

Z世代_PDF.jpg
明海大学でのグループワークにおけるディスカッションのテーマ

3 友人に真似されたと思われるのは「気まずい」。
  自分が属する「界隈(=趣味や価値観でつながるコミュニティ)」を意識して旅先を選ぶ

―前回のZ世代の調査とは違う点はありましたか?

畑下
ひとりとして同じアカウントのSNS投稿がなかったことです。友達と同じ場所に行くのは真似されたと思われたくないというのが理由でした。Z世代は常にSNSで自己紹介をする環境で育ち、他者にどう評価されているかの「自己認識」や、自分の強みや価値観を他者に伝える「自己ブランディング」の意識を持っています。身近な人から影響を受けるというのは「気まずい」につながるのだと思います。

吉濵
私もZ世代なので、この気持ちはなんとなく分かります。真似されたと思われたくないよりも、お互いが気まずくならないように配慮するのに近いと思います。
また今回、気になったのは、彼らが意見を発表する前に「自分は『自然界隈』の人なんですけど」と、「○○界隈」という前提で自己紹介をしていたこと。自分がどの界隈で、どんな人間なのかを伝えてから、意見を発表していました。ひとくちに「自然界隈」と言っても、山や海、アウトドアなどいろいろな界隈があります。一人ひとりが自分の界隈を意識した発言をし、界隈ごとに異なる目線で旅先や地域を見ているのが面白かったですね。

4 複雑化するカスタマージャーニー。
  TikTokを見て、投稿はInstagramと、SNSを使い分ける

ー旅の情報収集・計画期間にあたる「旅マエ」は、界隈ごとのSNS投稿がカギとなるようですね。滞在期間の「旅ナカ」、旅行後の「旅アト」についてはどんな印象でしたか?

吉濵
旅マエの情報収集は、検索しやすいTikTokがいちばん多かったです。他のメディアを回遊せず、TikTokだけで素敵なBGMを聞きながらテンポよくチェックしたい、情報はいろいろ欲しいがテキストは少なめ、さらには交通情報などのデータもあると良いなどのコメントがありました。

畑下
旅ナカでは、飛行機で『るるぶ』などの旅行ガイドを見てテンションをあげる、またガイドブックは上の世代が活用するが、かわいいデザインならファッションアイテムとして持っていきたい人もいましたね。個人的にショックだったのが、「上の世代は学び、自分たちは映え」という意見。その土地について学ぶと旅が充実するというこれまでの価値観は通じないんだと(笑)。

吉濵
彼らの現地のリアル情報を知りたいのは、「学び」に繋がりますが、ハードルが高いのでしょうね。
旅アトはTikTokではなく、Instagramで旅の記録を残す人が多かったです。限られた友人に「旅行に行ってきた」というプライベートな報告をするイメージです。前回の調査でも、SNSは「お守り」という意見がありました。社内の旅好きな20代のスタッフに話を聞くと、仕事が忙しい時に旅の画像を眺めてホッとしているそうです。

グループワークの後は模造紙を用いて発表を行った。

5 令和の「界隈別カスタマージャーニー」は、「関係人口」を増やし、地域を良くする起爆剤にもなり得る

―ワークショップを終えて、今後JCDではどんな提案をしていきたいですか?

吉濵
若い人たちは自己認識のための「界隈」を持ち、一人ひとりが異なる角度で地域を見ていることが分かりました。今後は界隈を意識してコミュニケーションを取る「界隈別カスタマージャーニー」を提案していきたいですね。そのためには、従来の人気の観光ルートなどを切り口にする「エリア軸」よりも、さまざま界隈の人たちの「いいね」を集めた「テーマ軸」での情報発信が必要です。「いいね」も彼らが求めるよりリアルな情報で、自分の等身大に近い、マイクロインフルエンサーや地域の案内人に刺さる内容が理想です。

畑下
「界隈別カスタマージャーニー」を具体的に言うと、例えばSNSの投稿でイチゴのスイーツの人気店があったとします。使っているイチゴの生産地は? シェフの修業先は? 器は地元作家のもの? など、1つの要素から農業、食べ歩き、クラフトと関連性を広げ、多種多様な界隈の人に響く「いいね」をたくさん作ることです。こうしたテーマ軸での情報発信は、地域のさまざま産業の魅力の発見にもつながりますし、関係人口の増加や、広域連携の実現の可能性も秘めています。
JCDでは、これまで地域プロモーションのお手伝いをしてきましたが、今後はさまざまな界隈の「いいね」を見つける、種まき活動を新たに取り組み、観光業という枠を飛び越えた、地域を良くするお手伝いをしていきたいと考えています。

※資料DLはこちら
Z世代が旅に求める「令和的非日常」とは|JCD NOW!|株式会社JTBコミュニケーションデザイン

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