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JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

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いま、JCDの社長として思うこと

「ニューノーマル」を見据え、
JCDが社会的有用性のある企業であるために。

4月1日よりJTBコミュニケーションデザインの代表取締役に就任した古野が、2020年4月における思いをインタビュー形式で語りました。


Q まず、JCDの社長に着任されて時間を割いていることはどんなことですか?


「4月1日に着任したら、こういうストーリーで進めていこう」という青写真は、2月に社長の内命を受けてから準備を進めていました。ですが、着任前後から、今まで相当の時間を新型コロナウイルスの対策に割かれ、その計画の進捗スピードは想定よりも遅くなっています。でも、今はそれは仕方ないと思います。

このウイルス感染によってお亡くなりになった方も多く、今、つらい治療に取り組んでおられる皆様もいらっしゃいます。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、治療中の方の一日も早い全快を願っています。そして家族との生活に、あるいは一生懸命取り組んできた仕事に大きなダメージを受けている方ばかりだと思います。特に行政や医療機関など、この危険な状況の中でその使命に取り組まれている皆様には心より感謝申し上げます。

当社におきましては、社員と家族とお取引先の皆様の感染を避けるため、3月より在宅勤務を推奨してきました。4月1日の社長着任初日の全体朝礼では、全社員へオンラインでメッセージの生配信を行いました。まだ、会えていない社員がほとんどです。そして、4月7日の安倍総理大臣による緊急事態宣言の発出により、当社は休業取得を進める一方勤務は在宅ですることを基本とし「とにかく電車に乗って会社に来ないこと」をもはや奨励ではなく社としての方針としました。社員はお客様や事業パートナーの皆さんに対する責任感から動き方に苦労する様子もありますが、「仕事に一生懸命なのは本当にありがたいが、とにかく今は自分と周りの人の命と健康を一番に考えて行動してほしい」というメッセージを何度か出しています。かねてから当社では、必要に応じてリモートによる会議や打ち合わせを社内外で行っておりました。どうしてもリモートではできない業務もあり不便さはありますが、全国で90%以上は会社に来ない状態で仕事をできるようになっています。


Q 具体的に事業面での影響はありますか


残念ながら大ありですね。当社のビジネスは多岐にわたりますが、主力であるミーティング・コンベンションやトレードショーは、まさに人が集まることに対するサービスが事業そのものですので、キャンセルや延期が大半です。大打撃といっていいと思います。

実行委員のメンバーとして企画・運営に携わる「箱根ランフェス」は中止としましたし、大好評であった「万華響」は現在公演を中止しています。この夏に開催予定であったeスポーツのイベント「Piece×P」もどうするか検討を進めています。ビジネスパートナーの皆様とは、何とかこの事態を耐え一緒に乗り越えていけるよう、コミュニケーションを「密(オンラインで)」に取って対策を検討しています。

とはいえこのような状況でも実施しないといけないイベントもあります。例えば株主総会などは、少人数での実開催とWEB参加のハイブリッド型のものを提供する動きを始めています。お客様のイベント種別や目的により、対応方は多岐にわたりますが、長期にわたり準備を重ねてきた主催者様のご意向に最大限こたえられるよう、急ピッチでWEB開催の環境整備と新たな取り組みに努めています。


Q 具体的にはどのような取り組みなのでしょうか?


まずミーティング・コンベンション事業においては、現在、医療現場の最前線で戦われている医療従事者の皆様を対象とした医学系学会は、学術よりも医療優先という流れもありますが、開催を決定された学会について、少しでもリスクを避け、通常に近い形で目的を達成できる環境を作れるよう、オンライン開催に取り組みます。 先ほど触れました、バーチャルハイブリッド株主総会は、経済産業省が発表したガイドラインに則り、株主一人ひとりに付与されている議決権をしっかりと行使できるよう、オンライン参加であっても個人を特定できる仕組みを整備し、株主から数多くのご意見を集約できる仕組みも構築しています。

その他、オンライン社員総会、オンライン調印式、オンライン研修、オンラインカンファレンス、そしてオンラインでの技術展示会、といった様々なお問合せをいただいております。従来のリアルイベントで培ったノウハウに加え、デジタル技術を融合させた新しいハイブリッド型のソリューションの提供と、プラットフォームの構築を進めています。

また、全国で約50か所の施設の運営を、指定管理・PFIなどで取り組んでいますエリアマネジメント事業でも、多くの施設事務局が一部業務を除き閉館休業を余儀なくされています。しかし、地域住民の皆様とのエンゲージメントを絶やさないためにも、施設でのコンサートや生涯教育のグループワークができないアーティストや講師の方がオンラインでコンテンツをお届けできるような仕組みも検討しています。同じように、来年に延期となった大型イベント事業においても、例えば集合型研修を参加者の利便性向上と効率化を目的にeラーニングを提供するなど本番に向けた準備を着々と進めています。

プロモーションの分野では、アフターコロナに予定されている国及び全国各地の誘客プロモーションの準備や、ツーリズム産業のWEBマーケティングを最適化するシステムの開発などに取り組んでいます。また、eスポーツのオンライン大会にも力を入れていきます。

JTBコミュニケーションデザインは、その社名の通り、お客様の目的達成に資するコミュニケーションをデザインすることを生業にしていますが、オンラインでのコミュニケーションサービスもリアルと同様に提供することを当たり前化させていきます。

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Q 今後の方向性について教えてください


今回のコロナ影響下の対応を一つの契機として捉え、危機管理対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)化を今後の新たな提案要素として盛り込んでいきたいと考えています。一方、ウイルスを克服したら元の世界に戻るのかというと、それはそうではないという考えを持っています。 ニューノーマル(新常態)は、かつての金融危機や災害によって世界が苦しい状態に追い込まれたときに、それを何とか克服したら、なんと世界はかつてのスタンダードから様相が変わっていたということを表していますが、「この危機的状態から生まれた新たな人々の営みや知恵や生活の手法が『新常態・新常識』になる」と覚悟を決めて、今の取り組みを本格化させていく必要があると思っています。

例えば、仕事ではテレワーク、オンライン会議がそうですね。企業としてDXの取り組みに遅れていた企業も、「結構テレワークでも打ち合わせできるね」とか、「やはり一人一台のモバイル端末はいるよね。」ということになっているのではないでしょうか。

お客様に提供する事業だけではなく、社内のDXも進みます。書類の回覧は全廃も進むかもしれません。A2D(アナログtoデジタル)とは、例えば紙で請求書が送られてきて、それをせっせとシステムに打ち込む作業をするようなことをさしますが、本当に都市封鎖になったら、この一切の作業が止まってしまいます。D2D(デジタルtoデジタル)を目指して、クラウドで仕事をする世界観が今以上に広がります。この新常態の大半のことは、DXによって可能となるということを今から意識して、社内のフローも、提供している事業自体も準備しておく必要があるということです。

アフターコロナの世界においても、イベントやコンベンション、コンサートなど、人が集まることによるコミュニケーションがなくなることはあり得ません。それを大前提とした上で、先ほど申し上げた通り、一つの選択肢として、WEBでのコミュニケーションのデザインの仕方は、さらにスピードを上げて事業として構築していきます。


Q 事業以外での取り組みはどうでしょう


社会貢献は当然意識しています。こういう時だからこそ我々の事業で、社会のお役に立てることに取り組みたいと思っています。例えば、SDGsに関しては、単に17の目標の一つひとつに取り組んでいるに留まらず、当社の事業と同じように、その一つひとつのかけ合わせで新しい価値を生み出したい、と考えています。

東京では「MICEサステナビリティガイドライン」が策定されていますが、確実にミーティング・コンベンション業界においても環境に配慮した取り組みが求められてきています。イベント会場内で配布する紙媒体を極力少なくするペーパーレスの活動はもちろん、環境にやさしいインクを利用した印刷物、再生可能な素材を利用したネームバッジの提案や、一見、環境へのやさしさとは程遠いと思われがちなステージ演出においても、再利用可能な素材を活用したステージ美術、LEDライトを使った照明演出を提案しています。

また、当社の営業推進部ソーシャルビジネス局では電力供給事業を扱っており、"CO₂ゼロMICE®"を展開する予定です。施設運営会社やイベント主催者が使用した電力をカーボンオフセットして、自社のSDGs貢献や施設ブランディング構築へ役立てる事が可能になる、面倒な申請代行とクリーンエネルギーの提供を行っていきます。

当社主催のトレードショーにおいても求められるのは単なる技術展示ではなく、ソーシャルイシューへの対応であり、生分解性プラスチック、脱炭素、5G素材など社会課題と向き合うコンテンツを企画しています。

JTBグループ全体として取り組む地域交流事業では、いかに地域と地域住民に貢献するかに取り組んでいますが、毎年春に開催している「箱根ランフェス」は年々参加者が増加し、昨年度はのべ4千名のみなさんに参加を頂きました。数年来、地域の活性化を目指したこのイベントのように、国策として取り組まれてきた地方創生について、この流れが断ち切れてしまわぬよう、JTBグループの知見を総動員して日本の各地域の振興に貢献していきます。

エリアマネジメント事業は、その位置づけそのものがパブリックセクターであり、社会貢献に結びつく事業をおこなっています。文化芸術や生涯教育、或いは観光資産を通じて地域の人々の交流を深め、賑わいを創出することで地域の価値を高めていきます。また、ボランティア事業は、共創社会に向けての大きなリソーススキームであり、この事業領域についてはオンリーワンといっても過言ではありません。プラットフォーム化や地域横展開等を図って社会貢献の幅を広げていきたいと考えています。

社会貢献に関して、JCD単独で難しいことは、JTBグループとしても、あるいはビジネスパートナーの皆さんとも力を合わせて取り組んでいきたいと思います。


Q 最後にひとこと


「JCDは、社会的有用性のある企業になりたい」と私は強く思っていますが、例えば、今回の事態を受けて、「不要不急の移動やイベントは自粛してください」と国や自治体から指示を受けると、我々の仕事は確実に減ってきます。これは、「我々のやっている仕事はすべて不要不急なのか、社会的有用性を目指すといっているいつもの会話は無意味なのか」という問いをコロナウイルスが我々に突き付けているのだと考えるわけです。

今の状況の中で、必要な「もの」は、例えばマスクと人工呼吸器です。でもそれは我々の事業領域ではないし、国から要請を受けても作れない。じゃあ、JCDのあるいはJTBグループの社会的有用性とは何なのか。

それは、先ほどからご紹介してきた、企業活動・社会活動をするうえで必要とされるそのプラットフォームや仕組みなどを構築していくことです。決して奇抜な新事業ということではなく、今の事業の延長線上で本当に世の中から必要としてもらえることを考えることを、これからも続けていくつもりです。

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