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試験運営のプロ集団が創る新たな資格講習DX事業とは

リアルからWEBへ
高度な専門知識が求められる資格講習DX化の成功ポイント

公共インフラやその他高度な知識や技術を必要とする事業は、私たちの安全と日常生活に大きな影響を及ぼすことが多く、そのためこうした事業に従事する職種には専門的な資格が必要不可欠です。さらに、常に新しい法律や技術の習得が求められるため、定期的な講習を受けて資格を更新する必要があります。コロナ禍を経てオンライン化が急速に進み、これまで集合型で行われてきた資格講習が一般的ではなくなり、資格講習を提供する事業者もデジタル化に対応する必要が急務となっています。一方で、完全にデジタルへとシフトするには超えるべき課題も山積しているのが実情です。こうした資格講習のDX化に関する課題にどのように取り組んできたのか、資格講習DX事業の開発・導入に関わるコミュニケーションプランニング局の和田が解説します。

  1. 高度な資格講習だからこそ既存のデジタルツールだけでDX化は実現しない
  2. 具体的なツール選定に求められるのは要件定義と入念な調査・検証
  3. デジタル技術とリアル運用がDX化成功のカギ
  4. DX化のメリットとデメリットを踏まえ、資格講習の新しいカタチへ

1 高度な資格講習だからこそ既存のデジタルツールだけでDX化は実現しない

JCD内には、多岐にわたる資格や試験の運営を担当する部署が存在し、交通等の公共インフラに関連する高度な専門知識を要する資格講習を手がけています。人々の安全に深く関わることから、これらの講習を受けないと工事に従事できないケースもあり、必須の要件となっています。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響でリアルで開催されていた講習の実施が難しくなり、資格更新を必要とする人々の実務に支障が出る状況となりました。そこで、お客様の要望に応え、WEBを活用した資格講習を実施するための資格講習DX化事業を開始しました。

現在、ZoomやTeams、専門のWEB学習プラットフォームなど、映像配信ツールは多く存在しています。しかしこれらは単なるツールに過ぎず、それをどのように運用するかがDX化成功のカギとなります。つまり、私たちの役割は、高度な資格講習をWEBで提供するためのツールの選定に留まらず、事業主が求める資格講習の要件を理解し、どうすれば実現できるかを考え、策定することです。

デジタルツールは手段の一つであって、成果を出すにはIT環境だけでなく、ツールを使う人の業務フローやオペレーションなど調和させ、総合的に計画することが重要です。時には画一的なシステム提供により目標達成が難しくなることもあり、ツールの仕様に運用ルールを合わせる必要も出てきます。こうした課題を解決するため、JCDは試験運営のプロフェッショナルとして専門知識を活かし、WEBを活用しながら適切な制度を整備した事業運営を提供します。

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2 具体的なツール選定に求められるのは要件定義と入念な調査・検証

資格講習をDX化する際、最初に行うべきステップは、ビジネスとシステムの両面から必要な要件を定義することです。これが実現可能な内容かどうかを調査し、確認した結果に基づいて、実行可能な要件を決定します。そして、その後具体的なツールを選ぶことができるようになります。さらに、調査・検証を行うことで、既存ツールよりも開発したほうがよい場合などの判断もしやすくなります。

その後、ツールの導入とカスタマイズ、業務フローの設計を進め、運用テストを行います。懸念事項などが浮かび上がるかもしれませんが、これらの要素を繰り返し評価・検証・調整しながら解決し、本番運用に移行します。資格講習をWEB上で提供するには、こうした手順を踏むことが成功のカギと言えるでしょう。

プロジェクトを立ち上げてから、軌道に乗るまでは苦労も多かったですね。交通等の公共インフラ関連ならではの特殊な観点があり、私も初めて触れる分野だったこともあり、一から知識を身につけなければならず、時間もかかりました。その過程で大切にしたのは、クライアントを不安にさせないことでした。事前準備を徹底し、分野の専門知識が不足している部分ではクライアントの協力を得ながら、わからないことは率直に伝え、説明を受けることで、曖昧な受け答えをすることによる混乱を避けるよう務めました。

また今回のプロジェクトでは、自身の長年のWEBディレクター経験が大いに役立ちました。受注側と発注側の経験を持っており、DX化すべき箇所やそうでない箇所のバランスを取る方法や、デジタル活用におけるつまづきがちなポイントも理解していました。お互いの専門知識を共有し合いながら最良の解決策を見つけることで、クライアントとの信頼関係を築くことができ、任せていただけたのではと思っています。

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3 デジタル技術とリアル運用がDX化成功のカギ

DX化においては、特にクライアント様が心配していたのは不正対策でした。参加者が真摯に受講しているか、本当に本人が受講しているのかという課題に対処するため、要求されるスペックを備えたツールを選定するための社内コンペなども行いました。

また、社内またはそれに準じた環境で受講する人が多かったため、マスクを着用したままでも本人確認ができるかという大きな課題がありました。試験運営の不正対策をパソコンで行う場合、ウェブカメラを使用する必要がありましたが、当時はマスクを着用した状態で確実な本人確認を行うためのツールが存在しませんでした。そのため、JCDではAIによる本人確認技術を探求し、精度の高い対策を実現するためにどのツールが適しているかを研究し、テスト運用を経て、マスクを着用した状態でも高い精度で本人確認できる技術を実現しました。

しかし、AIの精度が高くても、完全な正確性を保証するのは難しいこともあります。AIだけで受験の合否を判断するのは適切かどうかについての議論は今後も続くでしょうし、AIによる合格判定に抵抗感を持つ人もいます。そのため、これらの懸念を解消するために、デジタル技術だけでなく、試験運営の専門知識を持つスタッフで構成された事務局を設け、人による判断フローを導入することで対応しました。

WEBを使った精度の高い資格講習を実行し、トラブル等なく成功させることがお客様のご要望ですので、ツールを提供するだけ・カスタマイズするだけでは足りません。運営体制を整え、クライアント様の業務フローを作成し、それらがきちんと運用できるところまでが本当のゴールです。

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4 DX化のメリットとデメリットを踏まえ資格講習の新しいカタチへ

資格講習のDX化は、インターネットと端末があれば、地域や時間に制約を受けずに受講できるメリットがあります。講習動画をアーカイブ化することで、学習の機会を増やせるだけでなく、会場の手配や日程の設定が柔軟に行えます。また、受講者の進捗状況もリアルタイムで確認可能です。これらはDX化の大きなメリットです。しかし、DX化によって講習費用が低くなるという固定観念があるかもしれませんが、必ずしもその通りではありません。デジタル環境では必要な作業や手続きが変わるため、専門知識や技術、設備投資のニーズが異なります。環境の強化も考慮する必要があります。そして、DX化のデメリットとして挙げられるのが、緻密なフローやルールを決めておかなければならないことです。人の場合、臨機応変に対応できることも、デジタルの場合は一連のプロセスがシステム上ですべて進行します。さらに、このフローやルールは進化する時代やテクノロジーに合わせ、随時ブラッシュアップしていく必要があり、属人的な経験値等に頼っている部分を洗い出してマニュアル化していかなければ、デジタルなフローが成り立たないと考えています。

JCDの強みは多岐にわたる試験運営の実績です。全国各地で均一な品質を保ちつつ試験を同時開催することや、不正対策のノウハウの蓄積などを行い、これを基にしたルールやフローの構築にも熟練しています。DX化する際に何が課題なのかもわからない時点から、お気軽にご相談いただきたいですね。

JCDの資格講習のDX化は他の分野にも適用でき、高度な知識が求められる国家資格などの講習にも提案できる能力を持っています。我々の新しいビジネスモデルは、「資格講習のDX化に関してどのような会社に相談すれば良いのか分からない」という不安を抱える方々の支援に尽力することを目指しています。

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