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JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

  • まちづくり・地域活性課題
  • Case

地域活性の一手に、eスポーツならではのデジタル体験を

“旅”の代替えではない、新しいエンタテインメント
「Island Resort e-Travel」

コロナ禍でイベントが続々中止またはオンラインに切り替わる中、JTBコミュニケーションデザイン(以下JCD)が手がけるeスポーツ事業も例外ではなかった。2020年の夏にお台場で開催を予定していた大型eスポーツ大会「Piece×P(ピース バイ ピー)」は中止とせざるをえず、また沖縄県の観光客誘致イベントのコンテンツとして予定していたeスポーツのイベントもオンラインに変更しての開催となった。しかし、この状況を逆手に取り、オンラインだからこそ提供できる付加価値を設けることを目指して企画・実施されたのが、eスポーツと旅体験を掛け合わせたイベント「Island Resort e-Travel」。担当の伊藤と真野が語るその舞台裏と、これからのeスポーツ事業の展望とは。

オンラインに舵をきった、JCDのeスポーツ事業

JCDでは、新しいエンタテインメント・スポーツとして世界的に注目されているeスポーツを、日本でもよりメジャーなものにしていきたいとの想いから、2018年7月にeスポーツのポータルサイト「esports port」を立ち上げました。

「esport port」サイト https://esportsport.jp/
「esport port」サイト https://esportsport.jp/

「esports port」では、全国のeスポーツプレイヤーが各種大会・イベントに参加できるエントリープラットフォーム機能や、大会主催者とコンテンツホルダーを対象とした各種サービスを展開。Gameic学生団体(日本学生esports協会)との協業なども経て、数万人規模の登録者数を誇るメディアコンテンツに成長しました。
また、eスポーツイベントの企画・運営受託、自主イベントやセミナーの開催なども行っています。コロナ禍前は実際に集まっての大会や交流イベントを多く実施していましたが、現在はオンラインイベントの実施に力を入れています。

デジタルの旅体験とeスポーツを掛け合わせた
新しいエンタテインメントを

2020年のコロナ禍、グループ会社のJTB沖縄とJCDは、新たにオンライン・デジタル空間だからこそできる新しいトラベル体験プログラム「Island Resort e-Travel」に取り組みました。「Island Resort e-Travel」でめざしたのは、従来の「旅」の置き換えではなく、新しいデジタルでの旅・エンタテインメント体験の提供です。デジタルの旅体験といっても、ただ綺麗な映像を仮想空間で見せるだけではなく、デジタルでなければできない旅体験をいかに提供できるか、ということを目指しました。

JCDでは、小学生から30・40代男女まで幅広く人気のあるオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」をフィーチャーした大会を企画。ゲームモードの1つとして、沖縄のエリアをイメージしたフィールドをカスタマイズして実施することとしました。「Fortnite」は、「島」のMAPの中で対戦するバトルロイヤル形式のオンラインゲームです。その舞台は同じくリゾートアイランドである沖縄と親和性が高いということから、「Fortnite」のゲーム大会を企画し、2020年2月に沖縄で「e-motion」というリアルイベントでそれらを実施する予定でした。ですが新型コロナウイルス感染症の拡大により、場所を選ばずに参加してもらえるオンラインでの大会実施へ切り替えることにしました。

第1弾は8月に沖縄のビーチリゾートをテーマに実施し、第2弾の12月は沖縄やんばるエリアをテーマに実施。2021年3月に行われた第3弾では、JTBハワイとも組んで、ハワイ島をテーマに実施しました。第1弾&第2弾はそれぞれ、YouTube再生回数はそれぞれ5万回超えと、参加者やesportsファンの間で大反響の大会となりました。

■3月18日~20日実施
告知PV

DAY1「e-Travel CUP」アーカイブ

DAY2「e-Travel Fusion Island ハワイ島ツアー」アーカイブ」

デジタルに付加価値をプラスしたコンテンツで
ここでしか味わえないプレミアム体験を提供

「Fortnite」は、もともと参加無料のオンラインゲームです。そのため、ゲーム以外でマネタイズする方法や、ゲームの中で体験したことがリアルな旅に繋がるような企画を試行錯誤して作っています。
第3弾ではDAY1にアマチュア限定のオンライン大会、DAY2に抽選でプロゲーマーとゲーム内の「ハワイ島ツアー」に参加できる配信イベント、DAY3に有名ゲスト出演のオリジナル有料番組を配信しています。
オリジナル番組内ではゲストに沖縄料理とハワイ料理を作ってもらうクッキングコーナーを企画し、その中で使用した食材などを通販できるようにするなど、自宅にいながらご当地グルメをはじめとした地域の文化や風土をよりリアルに楽しめる体験を追加しました。
また、イベントのプレミア感を高めるために、有名選手たちと一緒に遊べる人数限定イベントも盛り込みました。YouTubeのチャンネル登録数が数十万人もいる有名な選手たちで、彼らとの交流を求めてたくさんの方にご応募いただきました。DAY2ゲームの中ではハワイ島ツアーに一緒に出掛け、写真撮影をしたり、ハイタッチをしたりできるのですが、その体験が複数のSNSにアップされている様子を見ると、参加者の心に刺さるイベントが開催できたのだと実感し、胸が熱くなりましたね。eスポーツを普及させながら、ゲームなどのデジタル大会を通じてこのようなプレミアムな体験をもっと提案していきたいとの想いもあり、そのためにどうすればプレイヤーが楽しめるのか、新しい体験ができるのかを常に追求し、企画づくりに携わっています。

独自のプラットフォームを使用して
「神イベント」と呼ばれるほどの大会に

「Island Resort e-Travel」で採用している「Fortnite」というゲームは、プレイヤーを大事にしているゲームなので、特にプレイヤーたちに不利益を与えないようなルールづくり、世界観を壊さない運営を徹底しました。
DAY1のe-Travel CUPでは、ほかの大会ではできない手法(フィールドを俯瞰できるモード:プレイヤー界隈では「神視点」と呼ばれています)での配信をしたり、参加している人だけでなく、配信を視聴するエンジョイ勢のプレイヤーも楽しめるよう視聴者クイズを盛り込んだりと、大会運営にあたっては、とにかくプレイヤーファーストであることを心がけ、SNSの反応を見ながら、第2回・第3回と参加者に喜んでもらえる仕組みを考えました。
また、DAY2の「e-Travel Fusion Island ハワイ島ツアー」では、現地に実際にある風景を参考にフィールドを制作したり、JTBハワイの協力のもと、現地ツアーガイドの方の監修をもらったガイドテキストを使用したりと、デジタルでの特別な体験の価値を高められるよう意識しました。
イベント開催後には、「またやってほしい!」「沖縄のものを買ってみた」「紹介されていた商品を買ってみた」などSNSで参加者からのアクティブなリアクションが見られ、とても嬉しかったですね。JTB沖縄からも「ぜひ次も一緒にやりたい」と前向きなフィードバックがありましたし、複数のイベントでも事例として紹介いただいたり、協賛企業の方からも、オンラインであってもきちんと市場を動かすことができるイベントだと感じてもらうことができたりと、eスポーツを起点にした地域活性の可能性をひしひしと感じました。

地域活性・インバウンドへの活用
eスポーツの力で地域を盛り上げる事業を目指す

最近では、自治体や地元企業などが主催となっているeスポーツのイベントも増えてきており、当社にもお問い合わせを多くいただいています。群馬県では「eスポーツ・新コンテンツ創出課」が創設され、県をあげてeスポーツの推進に取り組んでいます。2020年11月には、群馬県主催の「U19 eスポーツ選手権」の運営もJCDで行いました。

群馬県主催の「U19 eスポーツ選手権」の様子
群馬県主催の「U19 eスポーツ選手権」の様子

このほか、JCDではエリアマネジメント事業として地域の文化施設の運営も行っているため、都道府県単位だけでなく、市・区単位でのイベント実施などにも対応しています。先日、東京都東久留米市で小学生向けにeスポーツセミナーを開催した際には、たくさんの小学生に参加いただきました。今後は小学生向けの大会や、親子で楽しめるeスポーツセミナーなどを企画していくことも視野に入れています。


東久留米市生涯学習センターでのセミナーハイライト動画

また、eスポーツは外国人にも人気があるため、インバウンドに活用していくことが可能です。コロナ禍だからこそ日本に来日できない外国人に向けて、eスポーツを絡めて各地の新しい旅体験をオンラインで提供し、アフターコロナには実際に訪れたい!という機運を作ることができれば、と考えています。

eスポーツは、話題になりつつあるエンタテインメントですが、企業や自治体からは、どのように活用しどうマネタイズしたらいいのかわからないとご相談も多くいただきます。今回、JCDとJTB沖縄が開催した「Island Resort e-Travel」は、オンライン上のイベントに付随するコンテンツを作り、そのファンを引き連れてECサイトまで繋げ、B to Cのマネタイズポイントをつくるというスキームにトライしています。ですから、企業が抱えているマネタイズの課題を解決する糸口になるのではないかと感じています。

eスポーツに関わらず、音楽イベントやセミナーなども同様に、リアルイベントがオンラインに切り替わったことで、オンラインだからこそできる体験を提供し、そこに付加価値を設ければ、新しいビジネスの仕組みを作り出すことも可能だと考えています。オンラインコンテンツをマネタイズ化していくというのもJCDの目的であり、eスポーツはその方法のひとつでもあるんです。これまでの事例から、eスポーツでのデジタル体験を通じた地域活性や町おこしには大いなる可能性を感じています。地域活性を強みとしているJCDとしては、今後もさまざまな地域と手を組み、eスポーツの力で地域を盛り上げる事業に取り組んでいきたいです。そして、eスポーツを性別・年代・ハンディキャップなどにとらわれない新しいコミュニケーションツールとしてこれからも普及させていきたいですね。

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