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ストリーマーが集うリアルイベント「Streamer Jam TOKYO」で新市場を拓く

個性豊かな配信者が大集結!
オンラインとリアルをまたいだ次世代イベントの可能性

2022年10月30日、東京・ヒューリックホール浅草橋で「Streamer Jam TOKYO(以下、SJam)」が開催されました。イベントの主役は、YouTube動画やゲーム実況などの配信者として活動するいわゆる「ストリーマー」の方々です。SJamは、会場に設置された各々のブースから自由なライブ配信を行う参加型イベント。多彩なジャンルのストリーマーが一堂に会し、パフォーマンスを行う大型イベントは、実験的な要素も含まれたものの、出展者、来場者、オンライン視聴者、パートナー企業と、それぞれから高い満足度が得られました。

今回は、そんなSJamの企画と運営を担ったJCD事業共創部の真野から、イベントの振り返りと今後の展望についてお話しをします。

Streamer Jam TOKYOの様子
  1. リアルとオンラインのはざまで生まれた熱狂
  2. 「新しい文化創造への挑戦」が原動力に
  3. 協賛パートナーの「トライアルの場」としても

1 リアルとオンラインのはざまで生まれた熱狂

会場は「ストリーマーブース」「ステージブース」「パートナーブース」の3つのエリアに分けて展開しました。
最も広いエリアを占める「ストリーマーブース」には、多種多様なストリーマーが集いました。ゲーム実況を配信するストリーマーもいれば、制作した作品を販売する様子を配信するストリーマーや、シャツの縫製を配信するストリーマーもいます。昔ながらのボードゲームを複数人でプレイする姿を配信するアイデアはとてもユニークだと感じました。今回は、ストリーマーがそれぞれのパフォーマンスにバリューをつけて、マネタイズを行えるようにもしました。

Streamer Jam TOKYOの様子

彼らに共通するのは、自分たちが好きなことを多くの人に知ってもらいたいという想いです。通常、ストリーマーは1人で配信しながら視聴者から寄せられるコメントを見てリアクションするケースが大多数です。"個"になりがちなストリーマーがリアルの場に集まって、「こんな出会いがあったよ」とポジティブに配信することで、ストリーマー文化の認知拡大につながったり、新しいコラボレーションが生まれるきっかけになるのでは、と考えていました。

そこでストリーマー同士のコミュニケーションが高まるよう、全23ブースの配置、向きにこだわり、自然と会話が生まれる距離感としました。たとえばアイドル枠で参加した参加者が、以前から興味があったというVTuberのブースに遊びに行きVTuber体験をする。その様子を生配信することで即興コラボが成立。その様子はお互いのオンラインで拡散され、新たなファンを獲得するというシナジーも生まれました。

「ステージブース」を盛り上げてくれたのは、ゲストで来ていたプロeスポーツチームのメンバーです。人気プロゲーマーである彼らがリアルの場でファンイベントを行うとあって、多くのファンが会場に詰め掛けました。「生で会えた」「画面の前で応援してきた御三方を目の前にして涙が止まらなかった」など、喜びのコメントがTwitterに寄せられているのを私も嬉しく拝見しました。

Streamer Jam TOKYOの様子

「パートナーブース」では、サイコムさん、NEONSIGN TOKYOさん、PCCSさん、JOYSOUNDさんの4企業にパートナーとして出展いただきました。その中でもひときわ人気を博したのはJOYSOUNDさんの「ゲーミングカラオケ」でした。通常であれば著作権の都合上、ストリーマーがカラオケ音源を使って動画を配信することは難しいのですが、SJamではJOYSOUND自らが「配信用Liveステージブース」を設置。ここからの配信であれば、YouTubeの公式JOYSOUNDチャンネルで堂々とカラオケ配信が行えるという夢のコラボが実現し、会場は大いに盛り上がりました。

JOYSOUNDゲーミングカラオケブース
JOYSOUNDゲーミングカラオケブース

こうした会場の臨場感はJCDが運営する「esports port」の公式TwitchとYouTubeチャンネルでも同時配信し、視聴者ともリアルタイムでコミュニケーションをとれるようコメント欄を開放したり、リアルで開催された「大抽選会」では視聴者が参加できるよう工夫をし、SJamに関わるすべての人が楽しめる場づくりに努めました。

予想を上回る来場者数と視聴者数、再生回数を達成し、SJamはおかげさまで好評のうちに幕を閉じました。

2 「新しい文化創造への挑戦」が原動力に

コロナ禍のなかで起きた変化の1つとして、ストリーマー市場が大きく拡大したことが挙げられます。いわゆる「巣ごもり需要」を受け、ゲーム関連だけではなく、様々な配信コンテンツの視聴時間が伸び、多くの人にストリーマー文化が認知されていきました。今後はeスポーツ大会に出場するようなトップランナーだけでなく、幅広いストリーマーに目を向けてサポートできないだろうかということをビジネスの観点で考えはじめました。

コロナ禍でも従来より人気が高い対戦型ゲームではゲームユーザー同士のオンライン交流会が活発に行われていました。それらはゲームファンが立ち上げた小さなコミュニティが全国各地で開催されるケースが多く、そうしたコミュニティを「esports port」で一つひとつ丁寧に拾い上げるなかで、彼らの熱狂がリアルの場に集結したら、どんな世界観が広がるだろうか。ひいては、「ゲーム業界に新たな文化と事業機会を創造する可能性があるはずだ」と考えるようになりました。

思い出されるのは、昨年、開催100回目を迎えた国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット(以下、コミケ)」。コミケは1975年に"アマチュアの表現の場"としてアニメや漫画のファンらが同人誌を販売する700人規模の小さなイベントとしてスタートしましたが、今や日本を代表する一大行事に発展しました。

昨年、産声をあげたばかりのSJamも、大いなる可能性があると思っています。情熱を持って配信活動に励むストリーマーが気兼ねなく集まれる人流交流のフォーマットを作ったことで、新たな文化と商圏を創造できるのではないかと私たちは考えています。

Streamer Jam TOKYOの様子

リアルな場で何ができるか、どんな工夫をすればストリーマーの方々が本当にやりたい配信が実現するかを、SNSで地道に発掘したストリーマーの方々とコミュニケーションを取りながら寄せられた要望を積極的に取り入れ、心地よい空間を作り上げることで最終的に23組のストリーマーが集まりました。

同時にJCDが目指す未来像の解像度が高まるようストリーマー文化と親和性が高い企業へアプローチしました。わかったことは、ストリーマー文化に興味を持つ企業や、まだ誰も挑戦していない新規事業で「トライアル」をしてみたいと考える企業ニーズは想像以上に多いということでした。そして、SJamを成功裏に終えることができた最大の要因は、ストリーマーとパートナー企業双方の立場に深く寄り添うことで、ジャンルもテイストもバラバラな出展者が一堂に会するという『カオス感』をうまく出しながら、企業側のマーケティングニーズも満たせたことではないかと思っています。

実は、企画段階では参加者の大半はゲームの実況者だろうと予測していました。ところが、蓋を開けてみると、集まったストリーマーはアイドル、書道家など職業も配信内容も多種多様。そんな彼らがストリーマージャムというイベント名の通り、"SJamでジャムる"(即興でセッションする)こととなり、その目新しさにファンが共鳴し、情報が拡散されていきました。

それは、これまでのようにプロゲーマーを始めとする上級者たちのプレーを観戦するeスポーツイベントとはまた違った文化が生まれた瞬間でもありました。

Streamer Jam TOKYOの様子

3 パートナーのトライアルの場としても

第1回SJamのパートナーであり、JOYSOUNDを提供する株式会社エクシングの経営戦略部新規事業推進グループ・水口裕香さんは、真野からSJamの企画を持ちかけられ、パートナー企業としての参加を決めるまでの経緯をこう振り返ります。

「SJam の企画は、誰にどのように届けるかが明確で新しい試みがふんだんに盛り込まれているプロジェクトだったので、とてもわくわくしました。配信者であるストリーマーをターゲットにするということは、『伝える意欲の高いお客様』がイベントに多く訪れるだろうと想像できましたし、弊社の新しい試みである『ゲーミングカラオケ』をお楽しみいただく初のイベントとして、JCDさんとよい関係性を構築できると感じられたためパートナー企業としての参加を決めました。実際、『ゲーミングカラオケ』の立案から集客に至るまで密な情報交換を徹底してくださり、親身になって伴走してくださったからこそ無事にイベントまでたどり着けたのだと思っています。

プロジェクトを企画する立場である私は、これまでJOYSOUNDのユーザーと対面して表情や反応に直接触れる機会はあまりありませんでした。SJamの会場でユーザーと対話しながら、いい部分や悪い部分を見極め、その場で試行錯誤できるのは、リアルなイベントならではですし、遠方の方でも気軽にイベントに参加できるのが、ハイブリットイベントの最大の魅力です。今後はこのようなハイブリッドイベントがさらに増えていくのではないかと期待しています」

SJamは、オンラインとリアルを自由に行き来できる新時代の交流イベント。醍醐味は主に3点あると考えています。

  • オンラインファンとのリアルでの交流によるタッチポイントの拡大
  • ストリーマー同士が偶発的にコラボレーションすることで生まれる新たなアクティビティ
  • 個人ではできない実験的な試みができる
多様なストリーマーの配信を介し、企業が持つマーケティング課題の解決や、その先の潜在ユーザーをつなげる役割もSJamにはあります。
JCDとしても初めてのイベントだったSJamですが、既に第2回目の開催が2023年夏、東京で予定されています。ウィズコロナ時代を迎え、ストリーマー市場がどう成長を遂げていくのか、今後の展開にご期待ください。また、SJamを「トライアルの場」として活用してみたいというパートナー企業様からのご連絡も、お待ちしております。

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