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どうなる?どうする?アフターコロナの関西・大阪のインバウンド

〔座談会〕合同会社ユー・エス・ジェイ×ジャパンショッピングツーリズム協会×JCD
地域を元気にするインバウンド、復活に向けたテーマとは

近年、右肩上がりで上昇していた日本のインバウンド市場ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、著しく停滞しています。ワクチン接種の普及もあり、行動制限が緩和される国も増えてきましたが、以前のような市場となるにはまだ時間がかかるとみられています。

今回は、関西のインバウンドマーケティングの中心ともいうべき、合同会社ユー・エス・ジェイ(以下 USJ) インバウンド集客責任者である真田氏と、ショッピングを軸とした訪日観光プロモーションを行うジャパンショッピングツーリズム協会(以下 JSTO)の代表である新津氏に、今後課題となっていくアフターコロナのインバウンド施策について、JTBコミュニケーションデザイン(以下 JCD)で長年インバウンドプロモーションに携わってきた福村を交えて、座談会形式で語っていただきました。

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【座談会参加者】
合同会社ユー・エス・ジェイ
マーケティング本部 セールス&アライアンスマーケティング部
ディレクター 真田 龍一氏 (通称 ドラゴンさん)

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)
代表理事・事務局長 新津 研一氏

司会
株式会社JTB コミュニケーションデザイン(JCD)
エリアマネジメント部 プロモーション事業局
プロデューサー 福村 和広
(文中敬称略)
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※社名・肩書きは座談会開催(2021年9月)当時のものです。

長引くコロナ禍で顕在化した課題

JCD 福村
まずは私から、自己紹介も兼ねて、大阪・関西のこれまでのインバウンドにまつわる動きをまとめたのでご紹介させてください。
私は1984年の入社以来、様々な観光プロモーションに携わってきました。2000年前後からは大阪・関西のインバウンドプロモーションに関わるようになり、外国人観光客受入環境整備関係の調査業務や、「観光」を軸にしたまちづくり業務なども経験してきました。

JCD福村が関わってきたインバウンドプロモーション

ざっと年表にまとめるとこのような形で、それぞれの時流に合わせた戦略・市場の選定・手法をとってきました。また、続々といろいろな業種のプレイヤーの方が、インバウンドの世界に入ってこられました。なお、2001年のUSJ開業は、大阪が代表的な「観光目的地」として認知される大きなきっかけとなり、修学旅行生なども多く来訪するようになった大きな転機でした。新津さんには、2013年の勉強会でJSTO様の構想をプレゼンされた機会で、初めてお会いしましたよね。

近年ずっと右肩上がりで伸びていた関西国際空港の年間外国人入国者数は、コロナ禍により停滞しています。そうした中、これから大阪・関西のインバウンドはどうなっていくのか、どうしていくべきなのか、お2人からお伺いしたいと思います。
それでは、真田さん・・・私たちの間では親しみを込めて「ドラゴンさん」のお名前で呼ばせていただいていますが、これまでの歩み、USJ様のインバウンド施策、コロナ後の展望などをお聞かせください。

USJ 真田(ドラゴン)
私は、台湾人の両親のもと韓国で生まれ育ち、外資系の別業種の企業で働いたのち、2009年にUSJに入社しました。以降10年以上、USJのインバウンド集客責任者として、年間約200日は世界各国を飛び回り、各地の協力会社と一緒にマーケティングや集客プロモーションなどの施策を手がけてきました。

コロナ禍の今、インバウンド業界に携わる方々の現状としては・・・「不安」この一言に尽きるのではないかと思います。過去にもSARSなどの流行や、政治的不安、東日本大震災など、たくさんのことがありましたが、どれもここまで長引くことはありませんでした。初めての経験であり、これから各々の企業としてどう戦略を立て、どういう施策を打っていけばいいのか、先が見えない状況に悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

今後、ワクチンパスポート普及などにより、徐々に市場も復活していくはずですが、まだ具体的な予算投下などには踏み切れない状況だと思います。また、海外の旅行会社も資金状況が悪化し、人員削減、倒産してしまうような会社も出てきています。私たちが今までやってきたプロモーション手法も、ここで一度見直す必要があると考えています。

左:USJ真田氏  右:JCD福村
左:USJ真田氏  右:JCD福村

これからのインバウンドプロモーションのテーマは「共存」
"商店街のお豆腐屋さん"でも情報発信できる仕組みづくりを

USJ 真田(ドラゴン)
また今後、あらためて私たちが海外のお客様へ情報を発信、プロモーションを行っていくにあたっては、いくつかの問題に直面しています。

まず、コロナ禍前後で市場がどのように変化しているのかを把握できていないこと。これまでは、現地の旅行会社やメディアやKOLと協力してプロモーションを行ってきましたが、ある意味、彼らに頼りすぎていた部分もあったと思っています。
そのため、コロナ後の現地のお客様のニーズやインサイトがどう変わったのかという情報の収集から必要と考えています。今後は、間違いなくインバウンド需要を取り込む競争も激しくなるでしょう。世界各国との競争だけでなく、国内での競争も激しくなっていくと思います。

以前は、どの企業も自分たちに関するプロモーションさえしていれば集客に繋げることができていました。ですが、競争が激化するにつれて、個別のプロモーションだけでは集客が難しくなっていくと思います。

そのような中で、私はアフターコロナでのインバウンドプロモーションにおけるテーマは「共存」であると考えています。観光に関わる様々な立場の企業・地域・団体同士で連携しながらお客様が満足できる商品をつくり、一緒にリピーターを獲得していくことが求められているのです。

JCD 福村
USJ様はパークのオープン以来、周辺地域を巻き込んだ、面で展開するプロモーションを行ってきていらっしゃいますよね。アフターコロナには、面だけではなく官民、様々な業種、そしてゲストを巻き込んだプロモーションを行っていく必要があるということですね。

USJ 真田(ドラゴン)
その通りです。ですがその際、懸念されるのが、プロモーションを仕掛ける共通のツールをもっていないということです。たとえば最近は、多くの企業や観光協会、商業施設がそれぞれでアプリを制作していて、乱立状態ともいえると思います。それがお客様の利便性の低下、そしてダウンロード数の分散にも繋がっているのではないでしょうか。連携のためには、できるだけ共通のツールを使いながらプロモーションを仕掛ける必要があると考えています。

実は今、JCDさんと一緒に関西エリアの様々な自治体・企業・団体と連携した官民一体のアプリを企画しています。それらのデータベースをエリアのステークホルダーとも共有することで次回の施策にも生かし、結果としてリピーターを増やすことに繋げられればと思っています。

観光事業で皆が「共存」するということをわかりやすく言うと、例えば"商店街のお豆腐屋さん"でも海外にメッセージを届けられる仕組みを皆で作っていこう、ということなんですね。それが、これからのインバウンドプロモーションにおける私の理想であり、今企画しているこのアプリでそういったことが実現できればと思っています。

JCD 福村
ドラゴンさん、ありがとうございました。新津さんのご意見もお聞かせください。

"旅のチカラ"の実感から生まれた「ショッピングツーリズム」
官民・エリア・業種を超えたオールジャパンで取り組む意味

JSTO 新津
改めまして、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会の代表で、USPジャパンというコンサルティング会社を経営しております新津です。私は、三越伊勢丹で20年ほど消費者向けのマーケティングを担当していました。

10年前に独立し、ご縁があってツーリズム業界の方々とお会いする機会があったときに、"旅のチカラ"のすごさを感じたんです。そこで、ショッピングと旅を掛け合わせた「ショッピングツーリズム」が日本を元気にするのではないかと確信しました。観光業界や政府の皆さんと議論を繰り返す中で、日本にはなかった免税制度を取り入れること、そして「ショッピングツーリズム」をオールジャパンで取り組むべきなのではないかという結論に至りました。

幸いにも免税制度についてはまたたく間に法改正が進み、いわゆる「爆買い」ブームの火付け役に。オールジャパンでの取り組みは、JSTOの設立に繋がりました。当初は、わずか18社でスタートしたJSTOですが、今では150を超える企業や団体、自治体に加盟いただく団体にまで成長しました。
 
先ほどのドラゴンさんのお話にもありましたが、私たちも同じことを考えています。JSTOのビジョンの中に「オールジャパンで手を携え、英知を結集しよう」というキャッチフレーズがあるのですが、その「オールジャパン」の1つ目が官民一体であること、2つ目が民・民で業種・業態を超えた連携をするということ、3つ目が北海道から沖縄まで、大都市から地方都市までエリアを超えて結集するということです。このミッションを掲げる一番のヒントとなったのが、JCDさんが事務局を務められていた関西メガセールでした。

JCD 福村
関西メガセールは、関西広域の行政・民間事業者が連携し、関西国際空港、大阪市、京都市、神戸市、堺市、大阪商工会議所などを中心とする関西全域で実施したショッピングイベントです。外国人観光客は、関西メガセールに参加する観光施設や商業施設、飲食施設などに、パスポートを提示するだけで割引などの特典を受けることができます。官民連携で地域を盛り上げた事例で、第2回からJCDも携わるようになり、第3回は、JSTO様のジャパンショッピングフェスティバルとも連携しました。

左:免税制度改正時に官民で掲出したPRポスター
右:JSTOと関西メガセールが連携したPRポスター(いずれもJSTO提供)
左:免税制度改正時に官民で掲出したPRポスター
右:JSTOと関西メガセールが連携したPRポスター(いずれもJSTO提供)

JSTO 新津
関西メガセールでの官民連携が、今の関西のインバウンドプロモーションに繋がっていますよね。関西広域の行政同士も連携していましたし、ホテルや商業施設、エンターテインメント施設、飲食店も参加していました。そして、大都市だけでなくローカルエリア、あるいは百貨店だけでなく小さな商店街も参加されていたんです。

ドラゴンさんが仰っていたように、アフターコロナの観光再生には、もう一度オールジャパンで連携することが必要ですよね。ツーリズムの世界では、官民連携・異業種連携をし、情報共有しながらマーケットを広げていきます。つまり、地域の方々ともしっかり対話をし、理解を得ながら進めることが重要だと思います。

コロナ禍以前にもオーバーツーリズムの問題は課題になっていました。また、ツーリズムはSDGsのゴールを達成できないのではないか、サスティナブルな経営などの課題解決をせずに進むのではないかという課題もありました。しかし、コロナ禍においてこれらを解決する手法や地域との連携、サスティナブルの重要性を考える時間を得ることができたんですね。

そして、改めてこのタイミングで、私の考える"旅のチカラ"についても振り返ってみたいと思います。1つ目は利益が大きい(稼げる)こと。2つ目は協働で取り組むことで相乗効果が期待できること。3つ目は"多様性"が旅の価値となること。これらが旅の力であり、アフターコロナにおいては改めて重要性が増してくるのではないかと思います。

3つの旅のチカラ

今まで関西エリアにおいてはJCDさんが積極的にインバウンドに関わり、リードしてこられました。特に地域で連携しての取り組みをまとめあげていたというのは、ものすごく注目すべきことだと思っています。これからもJCDさんと一緒に関西のため、日本のためになる施策を、いろんな立場の方と一緒に連携して知恵を出し合って進められたらと思っています。

JCD 福村
新津さん、ありがとうございました。官民連携・異業種連携は大事なポイントですね。

今後の課題は飲食業界の巻き込み
利益追求だけでは、リピーターは生まれない

JCD 福村
ちなみに、連携の前例があるような自治体や観光施設の皆様とは共通認識がはかりやすく、まとまりやすいかもしれませんが、例えば飲食業界についてなどはいかがですか。

JSTO 新津
観光には、移動する・泊まる・食べる・買う・楽しむというような要素があります。移動だったら大手鉄道会社、エンターテインメント(楽しむ)だったらUSJさんというように、業界のまとめ役がいるんですが、飲食業界はツーリズムとのつなぎ役やそのまとめ役が少ないのが課題だと思っています。

USJ 真田(ドラゴン)
私も飲食業界に関しては、インバウンドへの取り組みは特に難しいと思っています。ですが、皆が一緒になってお客様満足を考えていかなければ、リピーターにはなってもらえないというのが、私の考えです。ですから、「共存」していくためには、私たちが持っている強みやノウハウを、シェアしていく必要があります。

私たちとしては、関西へのインバウンドのお客様が増えれば増えるほど、USJに来ていただくお客様も増える、と思っているんです。それはUSJだけでなく、商業施設や観光施設、飲食店も一緒です。まず利益を追求するのではなく、多くの人が大阪・関西に来ていただくことを目指して、プロモーションを仕掛けていかなければなりません。USJや皆さんが持っているノウハウをシェアすることで、例えば関西の飲食店は他のエリアよりも魅力的であることが広まり、たくさんのお客様が、関西の食を楽しむことを目的にして来訪する、という良いサイクルが生まれると考えています。

本対談は、オンラインで実施しました
本対談は、オンラインで実施しました

JCD 福村
USJ様は自分たちだけでなく、皆と連携しなければ関西が強くならないんだという明確なポリシーを持って、今までやってこられていますよね。インバウンドのプレイヤーの中でも、1テーマパークがここまでしっかりと1つの企業として地域と連携しているケースは、全国を見てもほぼないのではないでしょうか。

JSTO 新津
私もそう思います。1万円の広告費を自分の店に使うのではなく、隣の店に使っても自分が儲かるかもしれないという発想って、今まで日本人にはあまりなかったですよね。そのようなことを、JCDさんにもっと広めていって欲しいなと思いますね。

各国の訪日旅行客のニーズ・インサイトを改めて捉え、
インバウンド復活に向けた準備を

JSTO 新津
インバウンドに取り組んだ方々が口々におっしゃるのが、訪日外国人が増えたおかげで地域が元気になったという喜びの声です。コロナ禍による市場の停滞はいずれ解消し、近い将来インバウンドは必ず戻ってくるでしょう。今から市場回復に向けた準備が必要ですね。

USJ 真田(ドラゴン)
そうですね。ちなみに、USJのインバウンドマーケティングの強みとなっているのが、海外にレップ(現地で営業やPRをする会社)の事務所を置いていることです。レップから届く現地のリアルな声や旅行トレンドを元に、現地のニーズに合わせた商品を設計しているんです。現地と連携し、あらためて市場の変化を捉えて戦略を立てていきたいと思います。

JCD 福村
来たるインバウンドの復活に向けて、アフターコロナを見据えた準備を徐々に進めている方々も多いと思いますが、ドラゴンさん、新津さんのお話にあったように、コロナ禍後のインバウンド市場は大きく変化するため、プロモーションもその変化に対応していかなければいけないですよね。

JCDでも「共存」を叶えるため、ツーリズムに携わるステークホルダーに寄り添いながら、効果的にインバウンドを取り込んでいくプロモーションを推進したいと思います。もう一度、インバウンド市場を皆さんと一緒に盛り上げて、地域を元気にしたいですね。

USJロゴ■合同会社ユー・エス・ジェイ 会社概要
本社所在地 大阪府大阪市此花区桜島2丁目1番33号
設立    1994年12月(2001年3月31日パーク開業)
資本金    50億円
URL     https://www.usj.co.jp/web/ja/jp


JSTOロゴ■一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 概要
(Japan Shopping Tourism Organization略称:JSTO)
所在地 東京都千代田区岩本町2-2-16 玉川ビル5階
設立  2013年9月
URL  https://jsto.or.jp/

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