境配慮を考えるようになったのは

いくつかのホテルでの勤務や運営の他、リブランディングなども手掛け、2024年からリッチモンドホテル横浜駅前の総支配人を務める中原総支配人。環境配慮の必要性を考える大きなきっかけが二度あったと振り返ります。

一度目は、リッチモンドホテルプレミア東京スコーレの改装を手掛けていた時です。サウナルームの新設や、二部屋を一部屋に統合するなど大規模な工事を行った際、大量の瓦礫が発生しました。新しい価値を生み出す過程の中で、お客様が快適に過ごすためとはいえ、その一方で大量のごみが出てしまう現実は大きな衝撃を受けました。二度目は、プラスチック資源循環促進法への対応として立ち上がった社内のタスクフォース(プロジェクトチーム)に携わっていた時です。チームメンバーで様々なアイディアを出し合いながら考え、各ホテルにアメニティバーを設置しました。お客様が必要なものを必要な分だけ選ぶことができ、プラスチック削減に加えコストの最適化にも繋がりました。また、その分アメニティのバリエーションを増やすことで、お客様に環境配慮へご協力いただくとともに選ぶ楽しさも感じていただき、結果としてお客さまからも好意的な意見をいただいたことは大きな成果でした、と中原総支配人は語ります。

境配慮はアップサイクルで楽しく

日本では、食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」が年間464万トンあり、そのうち231万トンが事業系食品ロスです。その中でも66万トンが外食産業であり食べ残しによるものが相当程度を占めています。(2023年度推計 消費者庁、農水省資料より) 当社では『3010 運動』など食べきりの取り組みを進めてきましたが2022年より『mottECO(モッテコ)』の取り組みも始めました。これは、ホテルのレストランや宴会場をご利用いただいたお客様に、ご希望があれば環境に配慮した認証紙製を使用した容器をお渡しし、お料理を食べきれなかったときにご自身の責任でお持ち帰りいただく取り組みです。

これにより、食品ロス・ゴミの削減に取り組むとともに『食べ残したものは自分で持って帰る文化』の普及と啓発を図っていきたい」と松田顧問は話します。「この取り組みをホテル業界に広めたいと活動していますが、これまで、食べ残しの持ち帰りに伴う法的・衛生的な責任を高いハードルとして感じる事業者が多く、取り組みが進まない部分もありました。一方、食品ロスによる経済損失は大きく、温室効果ガス排出は気候変動に影響を及ぼすとの指摘もあります。今回、事業者・消費者(お客様)が安心して食べ残しの持ち帰りができるようガイドラインが政府により策定されましたので、ガイドラインを含め、mottECOの取り組みを広く普及していきたいと考えています。

境配慮と利便性のバランスが大切

また客室内の取り組みとしては、2025年から各階にウォーターサーバーを設置することで客室内のペットボトル設置を廃止しました。客室にガラスのカラフェを置き、お客様が自由に水を汲める仕組みです。このカラフェもサステナブルなものにできないかと考えています。
また、連泊の際の清掃方法についても、客室内のテレビ画面での操作で、「通常清掃」「清掃不要」「エコスタイル」の3種類からお客様ご自身で選択ができるようになっています。なかでも「エコスタイル」は、シーツやデュベカバーは交換せずベッドを整え、ゴミ回収やタオル交換のみ行うなど、環境配慮と利便性を両立させています。
環境に配慮しながら、でも旅行での非日常や高揚感、利便性を損なわない。そのバランスが一番難しいところですが、それが私たちのミッションだと考えています。「環境のために色々な取り組みをされていて良いですね」とお客様からお褒めの言葉をいただいた時は本当に嬉しいです、と中原総支配人は笑顔で話します。

CO₂ゼロSTAY®を導入したのは

環境配慮は自分たちで努力するのが大切なことですし、今後も継続していきますが、自分たちの努力だけではどうにもならないことがあります。それがCO₂排出量の削減と見える化です。
それをCO₂ゼロSTAY®が解決してくれました。CO₂ゼロSTAY®を導入することによって、お客様にも協力をいただきながら分かりやすく環境貢献をしていくことができます。仕組み化されているためお客様にも理解をいただきやすい点が特徴です。また、社内での共有や取り組みを広げていく際にも、「CO₂ゼロSTAY®レポート」にはCO₂削減量〇tと数値化されていて、また杉の木何本分やペットボトル何本分という指標が記載されているのはとても分かりやすいと感じています。リッチモンドホテルでは、GSTCの認証を進めていますが、そこでも活用しています。

MDF(※1)素材を使用した
サステナブルな「バゲージタグ」

CO₂ゼロSTAY®ノベルティの「バゲージタグ」もホテルオリジナルで制作しました。自社WEBサイトの対象プランでご宿泊いただくお客様にお渡ししています。旅マエ(旅行出発前)ではインスタグラムなどのSNSなどを通じて取り組みを知っていただき、旅ナカ(旅行中)ではチェックインの際にスタッフがリーフレットを元に説明しています。お客様の旅の思い出になるとともに環境配慮を考えるきっかけになってくれれば嬉しいです。今後もイベントなどの特典にすることで、ホテルのCO₂ゼロSTAY®の取り組みをお客様に分かりやすく伝えていきたいです、と中原総支配人は話します。

※1 MDF(中密度繊維板)
「間伐材」や「端材」などの木材チップを主原料として作られるため、森林資源を無駄なく有効活用できるリサイクル性の高いエコ素材。

タッフへの理解浸透もしっかりと

CO₂ゼロSTAY®含めたホテルの環境配慮の取り組みを、スタッフがお客様にしっかり説明できることも大切にしています。ホテルは24時間稼働していますし、スタッフの勤務もそれぞれです。そのため、ビデオレターとまではいきませんが、取り組みの内容、趣旨などの説明を動画にして、自分たちのホテルではこのような取り組みを行っているということを分かりやすく伝えるようにしています。環境配慮への興味については個人差があります。お客様の中には環境への関心がそれほど高くない方もいらっしゃいますので、一方的な押し付けにならないようにも気を付けています。

客様から選ばれる
ホテルであり続けるために

アールエヌティーホテルズは「ひとと自然にやさしい、常にお客さまのために進化するホテル」を目指しています。
今後、お客様に選ばれ続けるためには、環境配慮は欠かせない取り組みだと考えています。実行するには相応の負担が伴いますが、私はこれを単なる『コスト』ではなく、未来への『投資』だと捉えています。ホテルを運営するにはコストは不可欠なものです。電気、ガス、水道などの日々発生する『ランニングコスト』もあれば、経年劣化した設備の入れ替えや客室のリノベーションといった『未来のための投資』もあります。今後、お客様に選ばれるホテルであるために、環境配慮はコストではなく、投資だと考えています。販売促進費と捉えることもできるかもしれません。投資としての価値を証明するためには相応の努力が必要ですし、時間もかかると思いますが、だからこそ先を見据え、中長期的に取り組んでいく必要があると考えています。
お客様にとって、宿泊することや旅を楽しむことが環境配慮につながり、お客様自身の環境配慮活動にもなる。このようなサイクルを作っていくことが必要です。そのためには、利便性を削って何かを無くすのではなく、お客様の快適さを維持しつつ投資をしていくという発想の転換が必要です、と中原総支配人は熱意を持って語ってくれました。 ホテルの益々の進化が楽しみでなりません。

総支配人 中原 一威様

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