2025/12/26
参加者と地域が共につくるサステイナブルな学会運営
―SDGs実践が促す学術交流と地域連携―

| 学会名 | 第20回医療の質・安全学会学術集会 |
|---|---|
| 会 期 | 2025年11月8日(土)~9日(日) |
| 会 場 | 京都市勧業館みやこめっせ |
| 参加人数 | 4,000名 |
第20回医療の質・安全学会学術集会 大会長インタビュー
第20回医療の質・安全学会学術集会では、学会テーマである「サステイナブルな質の改善と患者安全」を学術的議論にとどめず、学会運営にも反映させました。本学術集会では、環境配慮や地域連携、学生の参画など多様な取り組みを組み合わせ、持続可能な運営モデルを実現しています。
サステイナブルを“運営のかたち”で示す
2025年11月、京都市勧業館みやこめっせで開催された「第20回医療の質・安全学会学術集会」。大会テーマである「サステイナブルな質の改善と患者安全」には、医療現場の安全と環境の両立をめざすメッセージが込められていました。
大会長の松村由美先生(京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 部長・教授)は、理念を示すだけでなく、学術集会の運営そのものをサステイナブルな形へ転換することを目指されました。松村大会長は次のように話します。「医療現場では多くの廃棄物が発生しています。環境への配慮を“学会運営”で示すことに意義があると思いました。」本学術集会では、紙資料の削減、再利用可能な備品の活用、マイボトル利用の呼びかけなど、環境負荷を抑えるさまざまな工夫を導入しました。会場全体が“持続可能な意識”を共有する学びの場となりました。
「お出かけ前チェック!」で行動を変える
学会公式Webサイトに掲載された「お出かけ前の持ち物チェック!」は、SDGsの実践を気軽に促す仕組みとして注目を集めました。
「マイボトルを持っていこう」「宿泊施設のアメニティを持参しよう」など、事前の行動を見直せるチェック項目を設けることで、自然と環境意識を高められるよう工夫しています。
松村大会長は次のように振り返ります。「思わず押したくなるようなデザインを、運営会社と一緒に工夫しました。堅苦しい啓発ではなく、楽しみながら“やってみたい”と思える仕掛けを目指しました。」その結果、多くの来場者がマイボトルを持参し、ペットボトル使用量の削減につながりました。
「お出かけ前チェック!」の案内
学生・地域・企業が支える新しい学会運営
京都開催ならではの特色として、地元商店街や学生、茶道団体が参加した「地域共創型の運営」も大きな特徴となりました。
松村大会長は「地産地消を意識し、近隣商店街の皆さまにも協力していただきました。地元の商品を選ぶことが、結果として社会や地球を守ることにつながると考えています」と語ります。
また、小学生向けの体験企画「キッズ薬剤師★おしごとチャレンジ!」も開催し、地域の子どもたちが医療の役割を学ぶ貴重な機会となりました。この企画の成功には、医療系学生たちのボランティアの力も大きく貢献しました。 彼らは他に受付や案内、茶席などを担当し、来場者が安心して楽しめるよう会場運営を温かくサポートしました。
「学生が自ら考え、参加者と交流する経験は、将来の医療チームで必ず生きてくるはずです。」学生ボランティアの明るい対応は会場全体を和ませ、温かい雰囲気を生み出していました。
会場デザインにも“人を想う”工夫を
環境配慮に加え、参加者が快適に過ごせる空間づくりにも取り組みました。長時間滞在する会場では、休憩スペースを増やし、自然と交流が生まれるレイアウトを採用しました。
松村大会長は「疲れたときに座って話せる場所があるだけで、参加者同士の対話が広がります」と話します。
こうした空間設計は、運営会社との綿密な打ち合わせを重ねながら実現しました。
企業・大学・地域団体との共創
協賛企業、教育機関、地元団体とも幅広く連携しました。各企業は展示でSDGsロゴを掲げ、自社の環境配慮型製品を紹介しました。
また、大学教員の実行委員参画により、産学連携もさらに深まりました。特に、表千家の協力による呈茶会は多くの参加者を魅了しました。
松村大会長は「京都には“長いお付き合いを大切にする”文化があります。信頼関係のある方々が協力してくださり、本物の力が集まりました」と語ります。
伝わる広報デザインを運営会社とともに
SDGsの理念をわかりやすく伝えるため、大会ロゴやWebサイトなどの広報デザインにも工夫が凝らされました。
松村大会長は「難しい説明よりも“見てわかる”デザインが大切だと思いました。ロゴには17のSDGsの中から特に関連の深い目標を組み込みました。」と語ります。
また、開催前には「第20回」にちなみ、毎月20日に「カウントダウンセミナー」を開催し、参加者の一体感を高めました。
“選べる仕組み”が生む無理のないSDGs
SDGs実践において、松村大会長が大切にされたのは「完璧さより継続可能性」でした。「紙コップを完全に廃止するのではなく、『できる人はマイボトルを』と呼びかける。選択肢を残すことで無理なく参加できるんです。」
この柔軟な姿勢は、運営会社との議論を重ねる中で形になりました。
松村大会長は「押しつけではなく、楽しんで続けられるSDGsを目指しました。」と語ります。
笑顔が広がる学会運営
運営スタッフ、ボランティア、参加者が笑顔で過ごせる空間こそ、松村大会長が目指された学会の姿でした。
「スタッフが笑顔で対応すると、その笑顔が参加者にも広がります。みんなが楽しいと思えることが一番の成功です。」
次世代へのメッセージ
松村大会長は「完璧を目指すのではなく、少しずつ良くしていくこと。人と人、地域と医療が支え合うことこそ、本来のサステナブルだと思います」と語りました。
編集後記
第20回医療の質・安全学会学術集会は、SDGsを“理念”から“実践”へと昇華させた先進的な大会でした。運営会社の支援のもと、参加者・地域・企業が一体となり、持続可能な学会運営の新しいモデルを示したといえます。
“楽しみながら続けるSDGs”という視点は、今後の学術会議に向けた大きな示唆を与えてくれるでしょう。
協力
- 「第20回医療の質・安全学会学術集会」
大会長 松村 由美 様(京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 部長・教授) - 京都市勧業館みやこめっせ 様
